★あさぎり通信vol.52 災害・被災時の税金の特例その1

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

10月になって秋らしく涼しくなりましたね!
 
ただ涼しくなるまでに、今年の夏は本当に暑く、
その上大阪の地震や広島・岡山の豪雨災害そして北海道の地震と
度重なる災害の多い1年となっています。
 
不幸にも被災された場合には、
生活に困窮しない為の税金の配慮や、
被災した人への支援をした場合の税金の特例が色々とあります。
 
 
本日のテーマは、特例制度を利用する方が多いと思われますので
これらの制度をまとめてみました。
 
量が多いので2回に分けての説明になります。
今回は、被災された方の特例制度の説明です。
参考にして頂ければ幸いです。
 
 
 

個人の方が被災された場合の特例(所得税)

 
 
(1) 災害減免法による所得税の軽減免除
 
(要 件)
 
 〇 災害によって住宅や家財に損害を受けた場合
 〇 その損害金額(保険で補填された金額を除く)がその住宅や家財の価額の1/2以上
 〇 被災した年の所得金額が1,000万円以下
 
  以上の要件に該当した場合には下記の金額を軽減または免除
 
 
(軽 減 さ れ る 金 額)
 
 〇 所得金額が500万円以下の人→所得税の額の全額
 〇 所得金額が500~750万円の人→所得税の額の1/2
 〇 所得金額が750~1000万円の人→所得税の額の1/4
 
 
(2)雑損控除
 
(要 件)
 
 災害によって、住宅家財を含む生活に通常必要な資産に被害を受けた場合には
下記の金額を雑損控除として所得控除できる
 
 
(雑 損 控 除 額)
 
次の(A),(B)のいずれか多い金額
 
 (A) 差引損失額(注)-総所得金額×10%
 (B) 差引損失額(注)のうち災害関連支出金額-5万円
 
 (注)差引損失額=損害金額+災害関連支出金額-保険補填額
 
 
※ 注 意 ※
 
 〇(1)と(2)は有利な方の選択となります。
  一般的には、所得金額が500万円以下の場合には(1)が有利
 〇(1),(2)ともに所得税の確定申告が必要です。
 〇 いずれも住宅等の生活に関連する損害です
    生活には関係ない山や土地を持っている人は修理費等が自腹になるので大変です!
    国等は寄付等で引き取ってくれません!酷い話です。
 
 
(3)申告・納税等の申告期限の延長
 
   免除 ではないですよ!!
 
  単なる 延長 ですよ!!
 
 
 

法人の方が被災された場合の特例(法人税)

 
 
(1)災害により資産等が滅失した場合
 
 法人の所有する商品、店舗、事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に、
その被災に伴い生じた下記の様な金額は損金の額に算入される。
 
 
 〇 商品等の棚卸資産、店舗等の固定資産などの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失
 〇 損壊した資産の取壊し又は除却の為の費用
 〇 土砂等の障害物の除却の為の費用
 
 
(2) 資産の評価損
 
 法人の所有する棚卸資産・固定資産等につき災害より著しい損害が生じ、
それらの資産の価額が帳簿価額を下回った場合には、
帳簿価額とそれらの資産の価額の差額を評価損として損金の額に出来る。
 
 
(3) その他
 
 その他に下記の様な特例があります。
詳しい説明は割愛しますので気になる方はお問合せ下さい。
 
 〇 災害による損失金の繰越し
 〇 災害損失欠損金の繰戻しによる還付
 〇 中間申告における災害損失金額に係る所得税額の還付
 
 
 

編集後記

 
 
 今年の確定申告は災害関連の申告が増えると予想されますが、
被災された方はまずは早目に罹災証明書を取得しておく事をお勧めします。
 
 
何か申告等でお困りの場合には弊所に遠慮なくお問い合わせください。
 
 
最後に、改めまして被災された方の1日も早い復興を願うばかりです。