本日のテ-マは、一部で節税という事で流行っている保険の話です。
結論から言うと「租税回避行為」の最たるもので危ない危険、気を
付けましょうという情報です。
それでは内容です。
■ 生命保険の名義変更による節税? ━━━・・・・・‥‥‥………
掛捨てでない保険(逓増定期・長期平準定期)は、解約するとお金が
戻ってきます。これを解約返戻金といいます。
法人契約で、この様な一定の保険に加入すると、半分損金(経費)で
落とすことが出来き、解約時には、払込保険料相当額が戻って来るの
で節税として保険加入されている方は非常に多いと思います。
この様な取引は何ら問題ないですが、最近以下の様な方法で節税しま
しょうという話(保険)があります。
【前 提 条 件】
毎年、保険料を500万円を支払い、解約返戻率等の推移が
1年目:0%(解約返戻金0円)
2年目:5%(解約返戻金50万円)
3年目:10%(解約返戻金150万円)
4年目:20%(解約返戻金400万円)
5年目:95%(解約返戻金2,375万円)
という様な保険商品があります。
【手 順】
1. 毎年保険料を支払うと、年間250万円(半分)が損金
2. 4年間支払った後に、個人(社長)に解約返戻金相当額(400万円)
で名義変更
→4年間で払込保険料累計の半分1,000万円が損金
残りは、資産として積立経理しているので、解約返戻金との
差額600万円が更に損金
この時点で、支払総額2,000万円の内1,600万円が損金
3. 5年目に個人で1年分の保険料を支払い、その後直ぐに解約し、
2,375万円(解約返戻金)を個人で受け取る。
→実質個人増加金額は、解約返戻金から、買取金額400万円と
1年分の保険料500万円を控除した1,475万円
4. 増加金額は一時所得扱いなので50万円を控除して更に1/2した金
額に対する税金を個人で納付
→一時所得の税金は非常に安い・・・
5. 以上の手順を行えば相当額の節税になる、考えた人、保険会社は
凄い、偉い、エクセレント・・・・・・
【結 論】
こんな美味しい話があるの?大丈夫なの?
大丈夫じゃないでしょう、このスキ-ムは明らかに「租税回避行為」
初回に、「節税」と「脱税」と「租税回避行為」についてお知らせし
たと思いますが、このスキ-ムの一連の流れには経済的合理性が全く
無いです。
法人から個人への買取金額が問題であり、確かに法人税の原理原則で
ある、時価(解約返戻金相当額)の売買なので法律違反ではない。
でも、こんな取引(20%で売買して1年後には95%)は、他人との間で
成立しますか?社長にだから売るんでしょう・・・
そんな美味しい話なら私に売ってよ すぐ買いますよ・・・
明らかに、税金を不当に逃れる理由しかない・・・合理的な説明が出来
るとは思えない。
この様な場合には、我々の業界で「伝家の宝刀」と呼ばれている「同族
会社の行為計算否認(法人税法132条)」によって税務署は否認する事
が出来るんですよ。
この規定は、同族・身内間で今回の様な他人との間ではあり得ない様な
取引・行為があった場合に否認される規定です。
このスキ-ムは、近い内に、税務当局から法律のメスが入るでしょう。
税務否認リスクが高いので気を付けて下さいね。