あさぎり会計事務所の山根です。
先日、国民的番組である欽ちゃんの仮装大賞を見ていたら、
番組中に欽ちゃんが引退をほのめかすシーンがありました。
しかもそれが唐突で、また、さりげなく語られた事に驚きと感動を覚えました。
後継者である慎吾(香取慎吾)ちゃんを立派に育て自分はそっと身を引くという、
まさに事業承継のお手本じゃないでしょうか!
80歳を過ぎたご老体が権力の座にしがみつくどこかの政治家達とは大違いですね!
欽ちゃんの様な引き際をお手本にしたいものです。
さて、本日のテーマですが老人に関連して扶養控除の話です。
今、確定申告の時期ですが、扶養の確認をすると親を扶養に入れていないというケ-スが結構あります。
今まで入れていなかった理由を尋ねると年金があるから結構お金を持っているとか、
そもそも扶養は子供だけだと思っている方が多い様です。
改めて、扶養控除について理解してもらい扶養の控除漏れに注意してもらえればと思います。
尚、確定申告をしない人でも年末調整で処理は出来ます。
ただ今年の年末調整は既に終わっていると思いますが、その様な方は、確定申告をすればお金が
戻ってきます。
親の扶養控除に入れているか?
● 扶 養 控 除 の 概 要
まずは、親を扶養に入れる事が出来るのかの要件を説明します。
1.扶養控除の概要
納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。
2.扶養親族に該当する人の範囲
扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。
(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)等
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。
(4) 青色申告書者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことなど。
以上から、要件が、身内で所得金額が48万円以下というのはご理解頂けると思います。
上記(4)は特殊なので無視してもらっていいですが、問題は、聞きなれない(2)の生計一の意味だと思います。
3.生計一の意味
「生計を一にする」の言葉の定義は法律上は明確にされていませんが、通達で以下の様な事がポイントになります。
(1)同居の有無は関係ない
(2)同居の場合は生活の財源が共通していること
⇒互いに独立し、日常生活を共にしていない場合は駄目
(3)別居の場合には生活費等の送金が行われていること
⇒送金記録等があるのが望ましい
以上、大分曖昧な部分も多いですが、同居の場合には所得要件を満たしていれば特に問題にならないと思います。
問題は、別居の場合ですが、個別に実体などを勘案して検討しないといけないでしょう!
● 実 務 上 の 留 意 点
1.所得の判定
親を扶養に入れる場合に注意したい事は、所得が48万円以下かどうかですが、 収入=所得ではないと言う事です。
給料の場合には給与所得控除、公的年金の場合には、公的年金控除がある為です。
(扶養になれる具体的収入金額)
給料だと、年間収入103万円以下
⇒給与所得控除が55万円ある為、103万-55万で所得48万円
年金だと、年間収入158万円以下
⇒年金控除が110万円ある為、158万-110万で所得48万円
尚、扶養者が65歳未満の場合には108万円以下
また、遺族年金や恩給、原爆手当は非課税でなので判定に含めなくていいです。
2.扶養控除額の金額
一般扶養親族:控除額38万円
老人扶養親族(非同居):控除額48万円
老人扶養親族(同居):控除額58万円
3.過年度の申告で扶養に入れていなかった場合
更正の請求(注)という手続によって5年分の還付を受ける事が出来ます。
(注)年末調整等で確定申告をしていない人は期限後申告
今年の3月15日までならH28.H29.H30.H31.R1の5年分の還付を受ける事が出来ます。
尚、更正の請求をする時には、その扶養者の所得証明書などを取得して添付する事をお勧めします。
申告者の税率(所得)にもよりますが、5年分還付請求すれば住民税も含めると100万円以上の還付になります。
是非見直しをしましょう。
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?
親の扶養控除の適用漏れをしている人は結構居ると思われます。
高齢化社会で長生きされる方も多いので漏れないように今一度見直しをされてみていかがでしょうか?