あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
あっと言う間にオリンピックが終わりましたね。
今回の開催には賛否両論様々な意見はあったと思いますが、
選手達は一生懸命で沢山の感動を与えて貰い感謝・感謝です。
今回のメダル獲得数は史上最高みたいですが、自国開催のアドバンテ-ジを活かせれば
もっと取れた気がするのが少し残念です。
しかし、祭りの後の代償は大きそうですね!
まずはコロナワクチンの接種が加速しないと収まりそうもないですね。
因みに、私は2回目の接種も終わりましたが世間で騒がれているような副反応はほとんど無かったです。
まだの方は、恐れず接種するようにしましょう!
さて本日のテーマですが、「消費税のインボイス制度」についてです。
消費税インボイス制度
● 制 度 の 概 要
消費税のインボイス制度が令和5年10月1日より導入されますが皆様ご存知でしょうか?
正式名称は、「適格請求書保存方式」といいますが、具体的には、
次の内容を記載した請求書等を基に消費税の計算を行う制度です。
〇 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
〇 取引年月日
〇 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
〇 税率ごとに合計した対価の額および適用税率
〇 消費税額
〇 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
逆に言うと、この請求書等が無ければ消費税の計算上、仕入税額控除(注)が出来なくなる為、
納付する消費税が高くなるのです。
(注)消費税の計算は売上等の預かった消費税から、仕入れや経費などの支払った消費税を
控除して計算しますが、仕入税額控除とは、この支払った消費税を控除する事です。
尚、現状でも仕入税額控除の要件として請求書等の保存義務はあります。
では、何が大きく変わり、実務にどの様な影響が出るのかが気になる所ではないでしょうか?
実は、この「適格請求書」は、課税事業者しか発行出来ないのです!
ピンときますかねー?
消費税は、売上が毎年1,000万円以下の小規模な事業者は消費税を収めなくていい事になっています。
この様な事業者を免税事業者と言いますが、この免税事業者に支払った消費税が
仕入税額控除出来なくなるのです!
例えば、建設会社が、免税事業である大工さん等に外注費を550万円(消費税50万円)を
支払った場合に、この50万円の消費税が控除出来なくなるのです。
結果、消費税の納税が50万円増えます!
何で消費税を払っているのに控除出来ないんだよ・・・・
となります!
国としては、消費税をもらっている大工さんが50万円の納税をしない事による損失を
今回の改正で回収しようとしている訳です。
● 適 格 請 求 書 発 行 事 業 者 の 登 録 開 始
インボイス制度の概要は、ご理解出来ましたか?
制度の開始は、少し先なのですが、適格請求書を発行する為には、登録が必要になります。
この登録申請が今年の10月から始まるのです。
次に、先程の大工さんの例で、この制度が導入された場合にはどの様なケースが考えられるでしょうか?
〇 元請(発注者)が泣く!
⇒50万円消費税を多く払う
〇 大工さんに税抜金額しか払わない
⇒支払う外注費を500万円にする
〇 免税事業者とは取引しない
⇒書類の整理等が煩雑になるので免税事業者とは付き合わない
〇 大工さんが課税事業者になる
⇒大工さんがちゃんと消費税を納めれば国も文句は言いません。
免税事業者は、課税事業者選択届出書を提出すれば課税事業者になれるのです。
以上ですが、免税事業者の方や免税事業者の方と取引する場合には注意が必要になってきます。
お互いの力関係によってどう取り扱うのかが決まるのだと思います。
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?
平成元年に導入された消費税も30年が過ぎ時代は令和となりました。
今では税率も10%になり国の根幹となる税目になっています。
導入当初は、俗に言う益税で得する事業者が沢山いましたが、
今回の改正も含め、益税に対して殆ど網がかかっています。
最後に、今回は大工さんを例にしましたが、大家さんに家賃を支払う場合など
免税事業に支払う経費は沢山あります。
どのように対応するのがいいのか迷う場合にはご相談下さい。