あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
我々会計事務所業界の一番の繁忙期である確定申告が終わりホットしています。
気が緩んで体調を崩さないように、又、これから年度末年初に向けて行事等も
多いと思いますのでお互い体調管理には気を付けましょう。
また、何かと暗いニュースが多いのですが1つ1つ収束する事を願うばかりです。
さて、今回テーマですが確定申告で私が勘違いしていた事です。
保険金を数回に分けて貰った場合の税金の取扱いです。
数回に分けて貰う場合には、節税になったり損する場合があるので気を付けましょう。
保険金を数回に分けて貰った場合の税金
● 制 度 の 概 要
個人が保険を解約したり満期金を受取った場合の税金の取扱いは一時所得となり
給与所得などと合算されて税金の計算を行います。
一時所得の金額は下記の方法で計算します。
一時所得=(受取保険金-既払累計保険料-50万円)×1/2
ポイントは、50万円の特別控除額と1/2です。
所得である儲け(受取保険金-既払累計保険料)が50万円以下だったら税金がかからないのです。
また、50万円を超えても所得が1/2になるので税制上優遇されます。
尚、1年間に複数の保険の解約や満期があった場合には、保険ごとではなく、全ての保険を
合算して年間計算します。
以上が基本的な取扱いです。
では、保険の解約を複数に分けた場合に税金はどうなるでしょうか?
● 保険の解約を複数に分けた場合の税金の計算方法
具体例で説明したいと思います。
前提条件として他の所得、所得控除、復興税はなしで計算します。
〇 受取保険金1,200万円
〇 既払累計保険料700万円
(1)1回で受取った場合の税金
・(1,200万円ー700万円ー50万円)×1/2=225万円
・225万円×20%ー97,500円=352,500円(所得・住民税)
(税金合計)352,500円
(2)2回(年)で600万円づつ受取った場合の税金
(1年目)
・(600万円ー600万円)=0円
・0円(所得・住民税)
(2年目)
・(600円ー100万円ー50万円)×1/2=225万円
・225万円×20%ー97,500円=352,500円(所得・住民税)
(税金合計)352,500円
(3)3回(年)で400万円づつ受取った場合の税金
(1年目)
・(400円ー400万円)=0円
・0円
(2年目)
・(400円ー300万円-50万円)×1/2=25万円
・25万円×15%=37,500円(所得・住民税)
(3年目)
・(400円-50万円)×1/2=175万円
・175万円×15%=262,500円(所得・住民税)
(税金合計)300,000円
ご理解出来ましたか?
(1)と(2)では差がありませんが、(3)の場合だと5万円位税金が安くなっています。
保険金の貰い方の違いにより税金が異なり手取り金額が変わる場合があるのです!
計算のポイントになるのは、
1.既払累計保険料は、受取保険金を限度に順次控除し、残りは次回の受取保険金から控除する。
2.50万円の特別控除は解約の都度控除出来る。
私が勘違いしていたのは、1の既払保険料は解約保険金を全体の保険金で按分し、
2の50万円の特別控除は1契約1回しか使えなと思っていました。
実際、過去の取扱いはそうでしたが、現状は、今回の内容通りに変更されています。
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?
保険の解約方法によって税金が変わる場合があります。
最近の保険は予定利率が下がっているので上記の様なケースは稀かもしれませんが
外貨建保険など為替差益により受取金額が大きくなる場合があります。
そのような場合には、念の為、税金と手取り金額のシュミレショーンをした方がいいと思います。
特に、税率の高い人は影響が大きいかもしれません。
良く分からなければ保険会社や弊所に相談してください。