あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
18日からサミットが始まりますね。
個人的には迷惑で仕方ないのですが名誉と思わないといけないんでしょうね!
飲食店や宮島のホテルなど営業が出来ず更に補償もありません。
やっとコロナが終わったのに飲食・観光業にとっては嬉しくない開催です。
とは言え開催する以上は、無事に終わる事を願うばかりです。
事件が起きて広島サミットは最悪だったと言う汚点は残したくないですね!
さて、今回のテーマですが「税務調査」についてです。
最近、コロナが終わった影響で税務調査が非常に多いです。
税務調査においてよく問題になるのが「言った言わない」の話です。
その予防として「録音」が有効になる場合があります。
では、この「税務調査での録音」が法律的に問題があるかどうかについてのお話です。
「税務調査での録音」は違法か
● 概 要
まず「録音」なんかして大丈夫なのかという懸念があるかもしれません。
税務調査中の会話を録音する事は違法ではなく、法律上問題ありません。
違法になるのは、納税者や税理士が、税務調査に立ち会っていない場所に
盗聴器などをセットし盗聴する場合です。
しかし、税務調査が行われている場所(通常自分の会社)で録音する事自体は
盗聴でなく記録を取っているだけなので何も問題はないわけです。
会議などで会議内容を録音するのと何ら変わりありません。
この様に法律上問題ないのだから録音しないのは馬鹿だと言う税理士や弁護士の先生もいます。
「自分の身は自分で守れ」と、、、、、
● 実 務 上 の 留 意 点
法律上問題がなければ「録音」すればいいと言うのが結論です。
しかし、実務上は税務調査官が非常に嫌がります。
机の上に録音機を置いて税務調査開始と同時に録音ボタンを押すと調査は開始しないと思います。
税務調査官は、「守秘義務」の問題があるので録音を止めて下さいと言ってくるでしょう!
この「守秘義務」については法律上、税務調査官には調査の過程で知った
秘密につき守秘義務があり(国税通則法126条)、これを全うするために、
納税者から録音を条件に調査に応じる旨の申し出があった場合、
これを拒否しそれ以降の調査を行わずとも問題がないとされています。
その結果、帳簿の確認が出来ず調査等は出来ないとこととなり、
その結果、青色申告承認取消処分や推計課税等の更正もまた適法であると
解されると言う判決(東京地裁H12.12.27)もあります。
そもそも納税者や税理士が録音する事については、税務調査官が自分で情報を
漏らさなければいいだけなので、何が守秘義務違反になるのか全く理解出来ませんが、
上記の様な判決等があるのも事実です!
前後の過程が分からないですが納税者や税理士の態度が相当悪かったんですかね!
以上から、実務上の対応は、面と向かっての録音は難しいと思うので筆箱やスーツの中など
目に見えない様にして録音しましょう。
私も机の上に置いて録音をした事はありません。
最後に、秘密に録音する事自体問題ないのですが、証拠能力があるか否です。
これについては、東京高裁(昭和52年7月15日)の判決で、
「話者の同意なくしてなされた録音テープは、通常話者の一般的人格権の
侵害となり得ることは明らかであるから、その証拠能力の適否の判定に当つては、
その録音の手段方法が著しく反社会的と認められるか否かを基準とすべきものと解するのが相当である。」
「録音方法が著しく反社会的と認められる場合に証拠能力を否定すべき」となっいるので
税務調査中の記録の為の録音であれば有効な証拠になると思います。
転ばぬ先の杖ですかね!
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?
正直、私自身税務調査の立ち合いで毎回は録音していません。
しかし、雲行きが悪そうな場合には録音するようにしています。
何も無ければ後で消去すればいいのです。
最近は小型の録音機が売っていますし、スマフォのアプリもありますので活用し、後のトラブルを避けて下さい。