あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。
広島市の省エネ補助金の第2回の追加募集が8月7日にスタートしてその日に上限に達したみたです。
市町村ごとに補助金が違うので、常にホームページなどでチェックをしておく必要がありますね。
このように今の時代、情報格差が激しいです。
お客様の為に情報を収集するようにしていますが、多情報でなかなか追いつけないのが現状です。
情報に漏れている人は、自らは損していることにすら気付かないです!!
後から知っても遅いですからね 経営者として、常に情報収集する様に心掛けましょう!!!
相続開始直前の出金について
● 制 度 の 概 要
相続税申告の際、被相続人の預貯金について過去の履歴を確認します。
その際に、ATMなどから50万円の出金が複数回あり、それらを合計すると
1,000万円以上の高額になることもあります。
将来、相続開始時に、この分だけ相続財産が少なくなっています。
勿論、これらの出金が被相続人の生活費などで費消されていれば問題ありませんが、
そうでなければ相続財産に計上すべきかどうかが問題になります。
この出金額が相続財産になるか否かで当局と争い(裁判)となり、
令和5年2月 東京地方裁判所で、「不当利得返還請求権の計上漏れ」により、
相続財産に加算するという判決が下り、国が勝訴しました。
この案件では、大前提として被相続人が認知症で自ら引出しができない状況でした。
又、相続人は自らお金を引出しをしたことを認めていませんでした。
しかし、裁判では客観的な事実により相続人が引出しているという判決が下されました。
次に、その引出したお金は、認知症である母親の為に費消した金額も少額で、
残りの大部分の金額は相続人が着服し、母親に対して損害を及ぼしているので、
その相続人に対して不当利得返還請求権を有するという判決内容になっています。
● 実 務 上 の 留 意 点
今回の判決のポイントは相続人が出金額を保有しているかどうかではなく、
相続人が被相続人の通帳から勝手に引出をしている場合には、
不当利得返還請求権により相続財産に加算しないといけないというところです。
税務調査で税務署が相続人が相続財産を隠していることを立証できなくても相続財産の計上漏れを指摘できるという事です。
実務対応のポイント
その1 被相続人が自らが引出しを行い、被相続人が消費をして現金が残っていない場合には
相続財産に加算する必要はないです。
その2 相続人が引出しを行い、被相続人の生活の為に消費している場合にも
相続財産に加算する必要はないです。
この場合、被相続人の為、消費していることを立証する為に、
領収書などを残しておいた方が良いです
その3 相続人が勝手に引出しを行い、相続人が貯蓄又は消費している場合には、
相続財産に加算しないといけないです。
対策としては、勝手に引出しをせず贈与税を正しく申告する必要があります。
尚、認知症等で意思能力が無い場合には、贈与は成立しないので
相続財産に加算しなければなりません。
その4 税務署は、金融機関での預金の履歴調査を行います。
誰が出金したのかはすぐに分かります。
その5 税理士が、被相続人の通帳ついて相続人に質問をした際に事実を伝えないのは、
税務上の隠蔽行為になります。
相続税の対策
この様に、被相続人の通帳の引出しについては、相続開始前数年分の調査が行われます。
又、通帳の履歴調査は、被相続人だけでなく相続人の通帳も同時に調査すると言われています。
丸裸なので気を付けましょう!
尚、対策の必要性は認識していても、事前に行動しなければ後の祭りです。
相続税対策は、長期に行う事が肝要です。 早めに正しい対策をしましょう。
編集後記
今回の話はどうでしたか?
これぐらいの事はバレないだろうと安易に預貯金の出金をされる場合があると思います。
無駄に税金を支払う必要はないですが、後で、指摘を受けない様に預金の出金は気を付けましょう!