★あさぎり通信vol.27 親名義の建物に子供がリフォームをした場合の税金の落とし穴

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

今回のテーマは、親名義の建物に子供がリフォームをして住む場合の税金の話です。

えっ、親名義の建物に自分がリフォームして住むのに税金がかかるの?

何か、変ですね!!

概要

まず、親名義の建物に子供が増築した場合の税務の取扱いとして、国税庁のホームページに、「親名義の建物に子供が増築したとき」の題で下記の様な記載があります。

「子供が親名義の建物に増築した場合には、親が子供に対価を支払わないときは、親は子供から増築資金相当額の利益を受けたものとして贈与税が課税されることになります。しかし、増築資金に相当する建物の持ち分を子供へ移転させて共有にすれば、贈与税は課税されません。ただし、親から子供への建物の持分の移転は、親から子供への譲渡となり譲渡所得税が課税されます。」

つまり、国税庁は、親名義の建物に子供が増築をした場合には、親が贈与税を支払うか、譲渡所得税を支払うかどちらかになると記載しています

国税庁の見解の根拠としては、民法242条に「付合」という概念があるためです。「付合」って、聞きなれない言葉ですが、つまり、他人が建物の増築などをした場合において、所有権は、建物の本体の所有者に帰属するという考えです。

本当に、親が持っている建物に自分が住む為に増築した場合に税金がかかるの?

何かおかしいのではないか?そう思いませんか?

私は、税理士としておかしいと思います!!!

対策方法

親名義の建物に子供が住む為に自らリフォームをする場合の税金の解決方法として、下記にまとめました。

1.親が贈与税を支払う。

前提→何もしない場合(持分の移転をしない)

国税庁の見解の通りに親が子供から「増築資金相当額の利益」を受けたものとして贈与税を支払う。

問題点→贈与により受けた利益をどのようして評価するのか。上記の国税庁のホームページにも記載がありますが、贈与を受けた利益は、増築にかかったお金ではなく、「増築資金相当額の利益」と記載しています。いくら利益を受けたのか評価が難しいですね。

解決方法→贈与税が高くなるかもしれませんが、増築にかかったお金で贈与税を申告すれば問題は生じないのではないかと思います。

2.親が譲渡所得税を支払うか、子供が贈与税を支払う。

前提→リフォームの前に建物の持分全部を子供に売買か贈与で所有権を移転しておく。

そもそも他人名義の建物にリフォームをするので、このような難しい問題が生じます。あらかじめ、所有権を全部移転しておけば、このような問題は生じません。

ただし、譲渡所得税か贈与税の負担が生じます。

3.贈与税も譲渡所得税も支払わない。

前提→法解釈を正しく理解できる税理士にお願いをする。(あさぎり会計事務所など)

インターネットでこのテーマについて検索すると、税理士としての考えとして贈与税か譲渡所得税が課税されると書かれていることが多いです。この理由としては、国税庁のホームページに記載があるからだと思います。

税理士として、見解がわかれる分野かもしれません。具体的な個別案件にもよりますが、贈与税、譲渡所得税も課税されない方法で処理することもできます。

あさぎり会計事務所では、実際に税務署と折衝し、この方法で処理しています。

ただ、専門家でない方が、この方法をとるのは難しいかもしれませんね!!

編集後記

今回のテーマは、税務上の解釈の難しい内容になっています。

税理士によっても考えが違うかもしれません。

また、今回のテーマ以外にも「ある取引」について、税務判断が確定できない、又は税理士によっても判断が違うこともあります。気になることがありましたら、セカンドオピニオンとして相談して頂ければと思います。