おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
先日、広島の風物詩である「とうかさん」がありましたね。
これが終わると、梅雨、そして、暑い季節、夏の到来ですね!
気象庁の発表によると、今年の夏は平年より暑い、猛暑の予想が出ていますので体調管理には十分気を付けましょう!
さて、本日のテーマですが、前回からの続きで、税務調査関連の内容です。
税務署の事務年度(締め)が6月なので、必然的に税務調査が完結する月です。
税務調査の終結時に、否認指摘事項が発生した場合でも、安易に「修正申告」に応じず、必ず処分の内容を確認してから修正申告書を提出しましょう!
という内容です。
では、その詳細を説明していきます。
税務調査の終了手続
以前のメルマガでも書きましたが、税務調査が終了するパタ-ン は以下の3通りです。
これは、国税通則法により明確に規定されています。
○ 申告是認
何も問題がないパタ-ン
○ 修正申告書の提出
問題・指摘事項について、納税者が自ら申告書を提出する
○ 更正処分
問題・指摘事項について、納得出来ない為、修正申告書を提出しない
→税務署長が、一方的に税額を決定する
以上、税務調査終了時のパタ-ン です。
申告是認になればいいのですが、悲しいかな、何か出てくるのが税務調査なんですよね!!
安易な修正申告に応じるな
申告是認にならなければ、自ら修正申告するか、拒否して更正処分されるのを待つかしかありません。
ここで、修正申告書を提出した場合には、処分(ペナルティ-)の内容が
1.過少申告加算税
2. 重加算税
のいずれかになります。
どちらになるのか必ず確認し、修正申告書を提出してください。
というのも、「重加算税」になると大問題が4つあるからです。
1. ペナルティ(加算税) が追徴税額(増加税額)の 35~50%
2. 延滞税の控除期間がない
修正する年度(事項)まで遡って、その全ての期間に延滞税がかかります。
尚、過少申告加算税の場合には、最長でも1年分で済みます。
ちなみに、延滞税の割合は以下の様になっています。
・ 納付期限から2ヶ月以内は2.7%、それ以降の期間は9.0%(H29年)
3. 事業税(地方税)の追徴税額にも重加算金がかかる
法人税の処分が過少申告加算税の場合には、過少申告加算金はかからない
4. 次回以降の税務調査の確率が大幅アップ
税務署内では,法人を第 1グル-プ~第3グル-プに分類している
→重加算税の実績がある法人は第3グル-プ(悪質法人)に分類される
→悪質な法人なので、その後、税務調査地獄
以上が、修正申告を提出する場合に処分内容を確認しなければいけない理由です!
次に、処分内容が過少申告加算税と重加算税の場合の加算税・延滞税の金額の違いです。
(具体例)
例えば、税務調査で 500万円の指摘事項(3年前)を受けた場合
法人税の本税125万円(税率25%)
法人事業税の本税50万円(税率10%)
法人住民税の本税20万円(税率4%)
本税は以上の通りで、ペナルティー(加算税・延滞税)は、それぞれ以下の通りです。
1.処分が過少申告加算税の場合の加算税・延滞税の金額
法人税の加算税125万円X10%=12.5万円
法人税の延滞税125万円X2.7%x1年=3.3万円
法人税事業税の加算税0円
法人事業税+法人市民税の延滞金(50万円+20万円)x2.7%x1年=1.9万円
合計17.7万円
2.処分が重加算税の場合の加算税・延滞税の金額
法人税の加算税125万円X35%=43.8万円
法人税の延滞税125万円X2.7%x3年=10.1万円
法人税事業税の加算税50万円x35%=17.5万円
法人事業税+法人市民税の延滞金(50万円+20万円)x2.7%x3年=5.7万円
合計77.1万円 その差、何と59.4万円!!
当然、これに本税の195万円を併せて納付しなければなりません。
尚、税務署は、重加算税にしたがる傾向にあります。
重加算税に該当するか否かは、国税庁のHPの事務運営指針に掲載されています。
重加算税の指摘を受けた場合には、最低でも、この事務運営指針の何処に該当するのか、税務署に確認しましょう。
編集後記
税務調査の早期終結の為や面倒だという理由で修正申告に応じる事があるかもしれません。
そもそも論として、修正事項に該当するかの検討は大前提ですが、次に、修正申告に応じる場合に処分の内容を確認しなければ後で大変になる事が理解出来たでしょうか?!
繰り返しになりますが、重加算税になると色々大変です!
重加算税と言われた時には、安易に修正申告せず、その理由を絶対、絶対、絶対、確認し、重加算税の事由に該当する場合だけ修正するようにしましょう。