★あさぎり通信vol.59  消費税の納税義務の判定

消費税は昭和から平成になった年に施行されました。

 

あれから30数年が経過し様々な改正が行われて来ました。

 

 

今回は、実務で影響の大きい「納税義務の判定」事を、改正前も振り返りながらお話します。

 

 

概 要

どんな法律でも当初の制定されたものが完璧と言う事はなく、

又、時代の変化に応じて運用(改正)されて行きます。

 

 

特に、税収に直結する税法については、

国家予算の収入の大半を担う部分なので厳格・公平に運用されていると思います。

 

 

平成元年にスタ-トした消費税も、

法の不備を狙って様々な節税や脱税紛いな事が行われ、

それらを防止する為に法律の改正が着々と行われ今日に至っています。

 

 

その様な改正の中で、一番根幹の話である納税義務について色々な改正が行われて来ています。

 

 

納税義務の判定の原則

消費税の納税義務の判定は、基準期間の課税売上高(注)の金額によって判定されます。

 

 

 

(注)2年前の消費税のかかる売上高の合計額

 

 

 

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合には、納税義務はありませんので、

原則は、その年度の売上が1億だろうが10億だろうが消費税を払わなくてもいいのです!

 

 

 

 

納 税 義 務 等 に つ い て の 改 正

納税義務判定の改正

 

この納税義務の判定を逆手に取って消費税逃れを防止する為に、

年々改正が行われ現在に至っています。

 

新規設立法人の納税義務免除の不適用(平成9年4月以降)

 

 

資本金1,000万円以上の新設法人は、基準期間の課税売上高が無いのに、第1期目から納税義務が発生します。

 

対策として、資本金を1,000万円未満にしていますよね!
 免税点の引き下げ(平成16年4月以降)

 

 

基準期間の課税売上高3,000万円→1,000万円

 

 特定期間に係る納税義務の免除の不適用(平成25年1月以降)

 

その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても

特定期間(注)における課税売上高(給与支払額)が1,000万円を超えた場合には

納税義務は免除されない。

(注)前期(年)の上半期

 

 

難しいですかね!

 

 

簡単に言うと、会社を設立して第2期は本来納税義務がないが、

第1期の上半期の売上の合計と給料の合計の両方が1,000万円を超えていたら

第2期は納税義務が免除されないんです。

 

 

課税売上5億円超の子会社等の納税義務免除の不適用(平成26年4月以降)

 

 

細かい要件は沢山あるのですが簡単に言うと、

 

課税売上高が5億円(グル-プの売上合算)を超える法人が、

 

子会社を新規に設立した場合には、

その子会社(兄弟会社)は初年度から消費税の納税義務が免除されない場合がある。

 

簡易課税制度の見直し

 

原則的な計算方法の他に簡易課税制度という方法がありますが、

この制度も厳しい方向に改正されてきました。

 

簡易課税を適用できるかの判定は、

納税義務者の判定と同じで、基準期間の課税売上高の金額で判定されます。

 

この基準期間の課税売上高が、以下の様に改正されて来ました。

 

5億円(施行時)

 

→4億円(平成3年10月以降)

 

→2億円(平成9年4月以降)

 

→5,000万円(平成16年4月以降)

 

そのうち、この制度自体が無くなるかもしれないですね!

 

この他に、みなし仕入率の見直しが4区分から現在6区分まで細分化されています。

 

 

 

 

編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?

 

 

消費税は平成と共に出来た法律で、当初3%でスタ-トしましたが令和元年の今年は10%になる予定です。

 

 

税収の1/3位を占める消費税は今後も増税等で増えていくでしょう。

昔は、赤字法人なら税務調査は来ないなんて話もよく聞きましたが、
今後は赤字法人でも消費税を狙っての税務調査が増えると予想されます。

 

 

本日は、説明出来ませんでしたが、納税義務の事以外にも沢山改正が行われて来ており、

今後も増税の方向へ改正が続くと思います。

 

 

弊所では改正等があればアナウンスして行きますので、参考にして頂ければ幸いです。