制 度 の 概 要
今回のテーマは、
個人事業主の借入金利息の経理処理についてです。
借入金利息は、全額を経費にできると思われがちですが、
実は状況によって経理処理が異なってきます。
処理によっては税金の負担が増加したりすることもあるので、注意が必要です。
税務に関する正しい知識を身につけ、無駄に税金を支払わないようにしましょう。
借入金利息の取り扱い
基本的な借入金利息の取り扱いについては、以下の通りです。
1 個人事業主が、運転資金の為の借入金利息
必要経費に計上します。
2 個人事業主が、新たに業務用資産取得の為の借入金利息
必要経費に算入することができます。
ただし、使用開始までの期間に対応する借入金利息については、
取得価額に算入することもできます。どちらか選択するようになっています。
※赤字になる場合には、
取得価額に算入して減価償却費で経費に計上したほうが良い場合もあります。
3 個人事業主が、新たに賃貸用不動産取得の為の借入金利息
(会社員の方が新たに不動産賃貸業を開始した場合等も含む)
賃貸業を開始するまでの利息は、
必要経費に計上することができず、賃貸用不動産の取得価額になります。
4 不動産賃貸業者が、2棟目等の賃貸用不動産取得の為の借入金利息
必要経費に算入することができます。
ただし、賃貸開始までの期間に対応する借入金利息については、
取得価額に算入することもできます。どちらかの選択です。
5 不動産賃貸業を廃止した場合の借入金利息
不動産賃貸業を廃止した後の借入金利息は、
必要経費に算入することができません。
6 土地取得の為の借入金利息は損益通算不可
事業所得・不動産所得が赤字になった場合には、
他の所得(給与所得など)と損益通算ができます。
ただし、土地の取得に係る借入金利息は、
他の所得と損益通算ができません。
経費に計上しても税務メリットはありません。
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?
借入金の利息は常に必要経費になると
お考えの方も多かったのではないでしょうか。
事業開始までの借入金利息は、
必要経費になるか取得価額になるか、
状況によって異なるため注意が必要です。
税理士にお願いせずに税務申告をされている方は、
ご自身の確定申告を再度確認されてみてください。
特に不動産賃貸業の方は、借入金利息が多額の為、
税金への影響が大きいので要注意です。