あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。
ネットのニュースで、岸田総理大臣が新型コロナに感染して行われた記者会見が
「シュールすぎる」と話題になっていました。
政府がDXを進めているのに、結局はこんなやり方で時代遅れ感があり情けなですね。
みんながボイスレコーダー持ったり、メモをしたりするのをなぜ辞めようとしないのでしょうかね
同じようなことは、中小企業の経理業務にも言えるかもしれません。
今までの習慣にとらわれて経理業務の改善をしようとしないところが多い感じがします。
今は、デジタルの時代なので、手書きで経理資料を作成したり、
大量データを手入力するのは時代は遅れです。
本社機能(間接部門)を削減して、直接部門に経営を集中する時代だと思います。
さて、今日のテーマは、不動産譲渡時の建物と土地の分け方についてです。
この件については、不動産会社の方からの問い合わせの多い事例です。
今回、注目の判決が出たのでその紹介です。
不動産一括譲渡価格の按分方法
判決内容
令和4年6月7日、東京地裁で、納税者が不動産を売却した際に計算する消費税の計算方法について、
税務署が主張する固定資産税評価額比率の案分が認められず、
納税者が主張する鑑定評価額比率が採用される判決が行われました。
これだけでは、何を伝えたいのかよくわからないと思います。
土地と建物の一括譲渡が行われた時に、契約書に土地と建物の
価格が区分されていない契約書があります。この場合、合理的な方法で
土地と建物を分ける必要があります。
この分け方の方法として、固定資産税評価の比率や、鑑定評価の比率等により
合理的に算出します。
一般的には、固定資産税評価比率が採用されているケースが多いです。
税務署もこの方法を主張しました。
争いの事案では、建物価格は、国は約4億円で、納税者は約2億円で主張していました。
消費税で計算すると、(4憶-2億)×10%=2,000万の差異があります。
今回の争いでは、納税者の主張が認められています。
税務署が約2,000万円追加の課税処分をしましたが認められませんでした。
このように時価の考え方により、納税額が大きく変わってしまいます。
ひょっとしてこのことを知らずに消費税を多く納付してしまっている方もいるかもしれませんね。
実 務 上 の 留 意 点
上記の判決で採決されたように、安易に固定資産税評価で按分しないことが大切です。
土地と建物の金額がいくらになるかにより、減価償却費の金額、消費税が大きく変わります。
不動産の価格は高額の為、税金にあたえる影響は大きいです。
1.不動産を購入した場合
投資の居住用不動産を購入した場合、建物価格を大きくした方が減価償却費が
増えて有利になります。安易な固定資産税評価での按分により、
建物の価格が小さくなっているケースもあります。
2.売主、買主の利害が不一致
売主側、買主側で利害が一致しません。売主は、消費税を少なくするため
土地の価格を大きくしたいですし、買主は、消費税の税額控除がしたい為、建物価格を大きくしたいのです。
このような場合には、あえて契約書に内訳金額を記載しないことがあります。
これでも売買は成立します。
後はお互いが合理的な方法で区分すればよいです。
3.不動産会社が作成した土地と建物の価格が不合理
契約書に土地と建物の価格が記載されていても、この金額が不合理である場合があります。
理由としては、税理士が不動産会社から相談を受けた場合、固定資産税評価での
案分方法しかアドバイスをしていケースが多いからです。
不動産を購入する場合には、事前に土地と建物の内訳価格が合理的か確認しましょう。
とはいっても、納税者の方は、いくつかある合理的な算出方法がわからないと思います。
顧問税理士に事前に相談するようにしましょう。
尚、契約書に区分されている場合には、極端に不合理でない場合を除き
契約書通りに計算することになります。
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?不動産の売買については、税金の影響が大きい為、安易に考えず、不動産取引になれている税理士に相談されることをお勧めします。