★あさぎり通信vol.31 贈与に関する都市伝説・誤解その3

おはようございます。

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

さて、本日のテ-マですが、前回・前々回で掲載している贈与に関する内容の最終編です。

内容としては、今回の件も良く聞かれる事ですが、

毎年贈与する金額や日にちは変えた方が良いのか?

今回の内容も、前回・前々回同様、都市伝説や誤解、人によって言う事が違ったりするので、またまた私を信じて最後まで読んで活用して下さい!

概要

 「毎年、贈与する金額や日にちは変えた方がいいですか~?」という質問も、前回、前々回の内容と同様に良く聞かれます。

結論からいうと、金額や日付を変えた方がいい でしょうね!

理由は、前回の考えと同じですが、その方が、税務署からの指摘を受ける可能性が減りやすいからです。

法律論的に良い悪いではなく、実務上の対応を考慮しての話です。

では、法律論的にどうかというと、毎年の贈与金額や日付が同じであっても、今まで何度もお話した様に、贈与が成立する為の要件(詳しくはVOL26参照)を具備していれば否認される事はありません

でも、税務署との対応は面倒くさいですよね!という話です。

では、何故こんな話が出回っているのでしょうか??

毎年同じ金額や日付で贈与すると連年贈与になるという都市伝説があるからです。

連年贈与

連年贈与とは、毎年同じ金額の贈与を繰り返すと、その合計額を贈与とみなして、まとめて贈与税が課税されるというものです。

毎年100万円の贈与を10年間繰り返していると、最初の年に1,000万円を贈与したものとみなされて贈与税が課税されてしまう!という事です。

よくある具体例で言うと、

10年払いの保険に入る為に、毎年、同額の保険料相当額を父から子に贈与する。この場合に10年分の保険料相当額の合計額に贈与税が課税されるという都市伝説です。

この都市伝説の出処は、国税庁のHPのNO.4402に以下の様な記載があるからだと思われます。

毎年、基礎控除額以下の贈与を受けた場合 (国税庁HP:NO4402)

Q1

親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下ですので、贈与税がかからないことになりますか。

A1

各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。
ただし、10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束をした年に、定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかりますので申告が必要です。
なお、その贈与者からの贈与について相続時精算課税を選択している場合には、贈与税がかかるか否かにかかわらず申告が必要です。

(相法21の5、24、措法70の2の4、相基通24-1)

以上が国税庁のHPですが、

ここでポイントなのが、上記太字の部分ですが、 「10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合」

最初から1,000万円を10年に分割して贈与するという契約であれば、毎年の贈与金額は関係ない。                                         つまり、1,000万円に対して贈与税を課税するという事です。

最初から1,000万円が確定しているケ-スです。

したがって、毎年100万円の贈与を10年間続けたのでは、結果の合計額が1,000万円で同じでも意味が全く違います!

税務署が、もし、連年贈与で否認するのであれば、初めから「1,000万円を10年で分割して贈与する」というような契約書を探してこなければ無理です。

だから、毎年の贈与に対して契約書を作成しておけば問題にはならないんです!!

連年贈与になんてなるわけがありません!

以上、連年贈与の考え方を理解して下さいね !

編集後記

今回の話はどうでしたか?

前回同様、連年贈与の意味を理解していれば、毎年、同額の贈与する事については何も怖くないのですが、税務署に何か言われると嫌ですよね!

だから、贈与金額や日付は変えた方がいいかもしれませんね。

また、前回の話ですが贈与税も毎年払った方が無難ですね!