おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。
早速ですが本題に入ります。
今回のテーマは、民事信託についてです。
概要
民事信託、一般的に家族信託と言われることもあります。
民事信託とは、財産を持っている人(委託者)が財産を管理、運用、処分する人(受託者)を定めて、財産の管理、運用、処分をお願いする制度のことです。この財産の管理、運用、処分から生じた利益を受ける人を受益者といいます。尚、受益者は、委託者がなる場合や、委託者以外の人がなる場合があります。
又、民事信託は、家族間で行うことが出来るのが特徴です。
たとえば、アパート経営の場合、オーナーが民事信託の契約によってオーナー自身が委託者、受益者となり、息子を受託者とさせアパートの管理、運用、処分をさせることができます。オーナーの判断能力の低下等の不測の事態に備えて息子にアパート経営を任せるという事です。
本日は、民事信託が活用できる具体的な事例を紹介します。尚、制度の内容については、説明が長くなり、複雑なので後日記載します。
※今すぐに知りたい方は、弊所までお問い合わせください。
民事信託の活用例
1. 本人の判断能力が悪くなった場合(認知症など)に有効な活用例
■ アパートローン、住宅ローンがある場合
10年固定のアパート、住宅ローンがあり、10年後の判断能力の低下に備える場合
→10年固定の優遇金利で融資を受けている場合、10年後には金利が高くなる可能性があります。その際、再度借り換えなどで再契約して金利を下げたりしますが、判断能力が低下している場合、民事信託していないと、本人では契約ができないので高い金利になってしまいます。
■ アパートを建築したり、マンションを購入する場合
相続税の節税対策を行う場合、判断能力が低下した場合にはアパートの建築やマンションの購入ができません。
民事信託を利用すれば、本人の判断能力が低下した場合でも、アパートの建築やマンションの購入ができます。当然、融資を受けることもできます。
■ アパートを所有している場合
判断能力が低下した場合は、賃貸借契約ができなくなります。民事信託を利用すれば問題解決です。新規に入居者と賃貸借契約したり、大規模修繕を行うことが可能です。
2. 相続税対策で財産は贈与したいが、その財産の管理、支配は自分が行いたい場合
■ 同族会社の自社株式の議決権対策
相続税対策の為、子供に株式を贈与したいが、会社の議決権は持っておきたい場合に、民事信託を利用すれば、株式を贈与したとしても、株式の管理、運用、処分は、自分が行うことが可能です。
3. 遺言書ではできない相続対策
■ 将来、長男の妻側の家に財産を渡したくない場合
長男夫婦に財産を相続させたいが、長男夫婦には子供がいない為、長男の妻が死亡した場合には、長男の弟に財産を引き継いでもらいたい場合。
■ 相続税対策で孫に財産を相続させ、管理等は息子にさせたい場合
相続税対策の為、1代飛ばしで孫に財産を相続させたいが、孫の年齢が若い為、財産を相続させるのは心配なので、管理は息子にさせておきたい場合
今回、紹介した例は代表的なものですが、この他にも様々な方法が考えられます。
ただし、民事信託は、税務の問題、登記の問題、遺留分の問題など様々な法律が関係し、制度設計は慎重に考えなければなりません。
あさぎりグループでは、税理士、弁護士、司法書士などの専門家で構成されており、民事信託について、あらゆる角度から精査しワンストップで対応が可能です。
編集後記
この民事信託については、初めて聞かれる方が多いかもしれません。
先日から広島の銀行で、民事信託のマネジメントサービスが開始されています。
様々なケースで活用ができる為、今後広がっていくと思います。