あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
まだまだ終わらないコロナとの戦いですが出口はいつなんでしょうか?
ただワクチン接種が加速しているのは救いですね!
8月頃に第5波が来て、再度、緊急事態が発動され、少し収まり、
秋ごろには我々もワクチンを接種し、年内には収束するという感じでしょうかね!
また、年内には、治療薬(特効薬)も出来るという噂もありますし、
後、半年ぐらいの辛抱で終わる事を願うばかりです。
さて本日のテーマですが「法人契約の保険を名義変更する場合の税制改正」についてです。
以前から問題視されていましたが、今回、ついに税制改正になりました。
このテーマについては昔のメルマガ(VOL.5)で、税務署に否認される可能性が
高いので気を付けましょうと解説しました。
あれから、5年位経過しましたが、税制改正となり封じ込められる事になりました。
法人契約の保険を名義変更する場合の税制改正
● 改 正 前 の 節 税 ス キ - ム の 概 要
まず今回税制改正になった節税スキ-ムは下記の通りです。
1. 法人が役員等を被保険者とする低解約返戻金の定期保険に加入
2.多額の保険料を数年間支払う
3.保険料を数年間支払った後に、解約返戻金額が低額な期間内に契約者を法人から役員等の個人に名義を変更
4.役員等は解約返戻金額が引き上げられるのを待って保険契約を解約し解約返戻金を受け取る
法人は保険の売買等によって資産計上(積立金)した保険料を損金に計上できる。
更に、役員等は解約返戻金が少ない時期に保険を法人から安く買い取って、
解約返戻金が高くなったときに保険を解約することで財産形成ができる。
しかも、役員等が受け取る解約返戻金は一時所得になるので税負担が抑えられ個人のものになる。
難しいので具体例で確認して下さい
(前 提)
年間保険料500万円で解約返戻率等の推移
1年目:0%(解約返戻金0円)
2年目:5%(解約返戻金50万円)
3年目:10%(解約返戻金150万円)
4年目:20%(解約返戻金400万円)
5年目:95%(解約返戻金2,375万円)
という様な保険商品があります。
5年目で解約返戻率が一気に95%に跳ね上がるのがポイント
(手 順)
1.毎年保険料を支払うと、年間200万円(40%)が損金
2.4年間支払った後に、個人(社長)に解約返戻金相当額の400万円で売却(名義変更)
→法人は4年間損金にならなかった積立金1,200万円と売却金額400万円との差額800万円が売却損となり損金
この時点で、支払総額2,000万円の内、累計で1,600万円が損金
3.5年目に個人で1年分の保険料を支払い、その後、直ぐに解約して
2,375万円(解約返戻金)を個人で受け取る。
→個人受け取った解約返戻金に対する税金は一時所得なので、
最高でも25%程度の税金で済む。
以上から、名義変更を利用して法人から個人への資産を割安で移転出来る為、
このスキームが一部外資系保険会社を中心に横行していたのです。
● 税 制 改 正 の 内 容
改正内容はシンプルです。
名義変更時の買取金額についてです。
(改正前)
名義変更時の生命保険の買い取り金額
→名義変更時の解約返戻金相当額
(改正後)
名義変更時の生命保険の買い取り金額
1.名義変更時の解約返戻金相当額<名義変更時の資産計上額×70%
→名義変更時の資産計上額
2.名義変更時の解約返戻金相当額≧名義変更時の資産計上額×70%
→名義変更時の解約返戻金相当額
(新通達の適用時期)
令和3年7月1日以後行う名義変更より適用
※ただし、元の契約が令和元年7月8日より前に契約されたものについては新通達の適用外となります。
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?
今回の節税スキ-ムは以前から変だとは思っていましたので当然の改正だと思います。
既に、このタイプの保険に加入している方は、令和元年7月8日以前の契約については
除外されたので良かったのではないでしょうか?
しかし、これで保険による節税がほとんど無くなりましたが、
また、新たな商品を各保険会社が開発している様です。
またの機会にお話をします。