★あさぎり通信VOL.112 遺留分侵害額請求権 税務編

あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

暑い日が続きますね。

コロナの感染者が増えています。

高齢者の方は、ワクチン接種が進んでいるので重症者数、病床数は、過去の状況に比べて大幅に改善されています。

やはり、ワクチンの効果は大きいのだと思います。

政府は、この状況をみると明らかにワクチン接種を積極的に進めて行き経済を活性化させたいのだと思います。

行動制限を無くして地域経済を盛り上げるためにも、ワクチン接種が必ず必要だと思います。

ワクチン接種を積極的に行い、飲食店や観光業などに貢献ができればと思います。

また、定期的には、PCR検査を受け、他人に感染させないように気を付けましょう。

広島県が実施していた薬局での無料検査は、検査場所が多く便利だったのでぜひ再開してほしいですね

さて、今回は、「遺留分の請求」に関する件です。数年前に法律が変わっているので気をつけましょう。

遺留分侵害額請求権 税務編

● 制 度 の 概 要

2019年7月から「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求権」に変更になっています。

この制度は、遺言書がある事が前提です。

「遺留分減殺請求」とは、遺留分(注)を侵害された相続人が、相続財産を取得した他の相続人に対して

物件の返還を請求できる権利です。

「遺留分侵害額請求権」とは、遺留分を侵害された相続人が、相続財産を取得した

他の相続人に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利(民法1046条第1項)です。

(注)遺留分とは、相続人が法律で最低限保障されている遺産取得分です。基本相続分の1/2です。

改正前までは、遺産分割でもめて「遺留分減殺請求」があった場合、不動産等の物件で調整が可能でしたが、

改正後は、金銭での調整しかできなくなっています。

例えば、遺産が不動産の1億円のみの場合

<改正前>

「遺留分減殺請求」では、不動産に持分を入れて調整することが可能でした。

<改正後>

「遺留分侵害額請求権」では、不動産を相続した相続人が他の相続人に金銭で遺留分相当額を支払うことになるのです。

● 税務上の 留 意 点

<改正前>

「遺留分減殺請求」では、不動産の持分の変更などは、相続税申告の修正申告(税金払う)

または更正の請求(税金の還付)で対応します。

<改正後>

「遺留分侵害額請求権」では、金銭での調整が原則ですが、金銭での精算ができず、

相続不動産を渡す場合には、不動産の売買取引になり譲渡税が課税されます。

「遺留分減殺請求」時代は、相続税の修正で済んでいたことが、「遺留分侵害額請求権」では、

譲渡税を支払わなくていけないことになります。

「遺留分侵害額請求権」を訴えられた側は、不動産を取られるだけでなく、

譲渡税を支払わないといけないのです。先祖代々の土地の場合、取得価額がなく、

譲渡価額が譲渡益になる為、譲渡税が高額になる可能性があります。

対策としては、「遺留分侵害額請求権」で訴えられたとしても税務上のデメリットが発生しないように

、事前に訴えられたらどうするのか決めておくことが大切です。

編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?遺留分の制度が大きく変わっています。

民法が変更になり税務の取り扱いも大きく変わってきています。

資産家の方は、弁護士だけでなく、税理士も含めて同時にアドバイスを受けることをお勧めします。

尚、あさぎり会計では、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、あさぎりグループで

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