あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
緊急事態宣言も解除されコロナ感染者の数も減って来て少しづつ町や観光地に活気が戻って来ていますね。
広島でもGO To Eatが始まったり、もうすぐ発表される政府の経済対策案にも
Go To トラベルが盛り込まれそうです。
疲弊した事業者、特に観光業にとっては有難いですし、私も旅行が楽しめるので期待しています。
第6波が懸念されますが、このまま収束する事を願うばかりです。
さて本日のテ-マですが、来年1月から開始される「電子帳簿保存法」についてです。
まだ先だと思っていましたが後2ヶ月しかりありませんので改めて実務的な留意点について解説したいと思います。
電子帳簿保存法の改正
● 制 度 の 概 要
電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を
電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。
令和4年1月1日から、法人、個人問わず全ての方が対象です。
保存要件に沿った電子保存が行われていない場合には、最悪、青色申告の取り消しの可能性があります。
では、具体的な保存方法ですが、書類の種類や授受方法によって次の3つに分類されます。
1 国税関係帳簿(注1)や自己が作成する書類(注2)
これらは、会計ソフトや販売ソフトを利用していれば一般的に電子データの保存機能がついているので
紙での出力・保存が不要となります。
因みに、使用している会計ソフト等が電子帳簿保存法の要件を満たしているかどうかは、
そのソフトウェアの取扱説明書で確認出来ます。
また、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が、市販ソフトウェアを対象に、
電子帳簿保存法における要件適合性を確認(認証)しているので、JIIMAのWebサイトでも確認できます。
尚、専用ソフトを利用しない場合(ワードやエクセルや手書き)には従前通り紙での保存となります。
(注1)国税関係帳簿とは、仕訳帳、総勘定元帳、出納帳、決算書など
(注2)自己が作成する書類とは、契約書、請求書、領収書など
2 取引先から紙で受け取る書類(注3)
これらは、従前通り紙での保存の他一定の要件を満たせばスキャナ-保存も可能です。
(注3)請求書、領収書、契約書、注文書など
3 電子取引(注4)
これらは、原則タイムスタンプを付与して保存。
紙での保存は不可能となります。
(注4)電子契約、インタ-ネット取引、電子メール、FAXなど
以上から、上記1.2は今まで通りの紙での保存でもいいし、一定のソフトなど要件を満たせば
紙保存が不要となるので保管場所などを含め非常に有難い改正と言えます。
問題は、上記3の電子取引ですが、下記で説明します。
● 実 務 上 の 留 意 点
上記3の電子取引は実務的に非常に問題です。
電子取引についてはタイムスタンプの付与が費用的にも作業的にも非常に大変です。
当面の実務的な対応としては、下記の手順となります。
電子取引をPDF化⇒PDFを規則性をもって保存
規則性をもっての保存方法の具体例は下記の通りです。
(具体例)2022年1月31日に「あさぎり」から電子取引で10万円の請求書を受領した場合
ステップ1(ファイル名の作成):20220131あさぎり100,000
ステップ2(フォルダ-の作成):第1階層「請求書2022年」のフォルダ-作成
⇒第2階層「あさぎり」など会社ごとにフォルダ-を作成⇒第3階層で1.2.3.4月・・・月ごとのフォルダ-を作成
尚、PDF保存する場合には必ず「事務処理規定」の作成が必要です。
事務処理規定のサンプルを下記URLからご利用下さい。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?
来年から待ったなしの改正です。
まずはお使いのソフトが電子保存の要件を備えているかソフト会社に確認して下さい。
次に、電子取引がある場合には、紙取引に変更してもらうか、「PDF+事務処理規定」での保存で対応しましょう。