あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
早いもので今年最後のメルマガとなりました。
今年も1年間大変お世話になりました。
今年は東京オリンピック開催など色々な行事がありましたが、何と言っても新型コロナ問題ですかね!
やっと終わったかと思えば新型の変異株(オミクロン)が発生し、来年も悩まされそうです。
塩野義製薬を筆頭に経口薬の登場を待つしかなさそうです。
来年はコロナの話題に触れなくて済むように願うばかりです。
さて、今年最後のテーマですが、12月10日に公表された令和4年度税制改正大綱です。
正式決定ではないですが、自公が過半数を占める為、法案として可決されるでしょう。
今年の改正は、大幅な改正はないようです。
自民党は、積極的な賃上げ等を促す措置で税額控除率の拡充を取組されていますが、
下記で書いたように効果は少ないのではないかと思います。
令和4年度税制改正大綱
● 概 要
令和4年度の税制改正大綱のスロ-ガンは
〇 成長と分配の好循環の実現
〇 経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
となっています。
尚、今回の改正では、心配していた贈与税の暦年贈与課税は廃止になりませんでした。
では、主な内容は下記の通りです。
● 主 な 内 容
個人:所得税関係
〇 住宅ローン控除の改正(増税)
借入限度額が建物種類によって3000万円~5000万円となり、
年末残高に対して0.7%の税額控除(現行は1%の税額控除)
また、借入期間は、新築は13年、中古・増築は10年になります。
その他の要件も変更になっています。
〇 子会社等からの配当に係る源泉所得税の廃止
現状、100%完全子会社からの配当に対して20.42%の源泉徴収が必要ですが、
令和5年10月1日以降の支払いに対する配当については源泉徴収が不要となります。
〇 上場株式等の配当所得割に係る課税方式の改正
個人住民税計算において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の
課税方式を所得税と一致させることとなりました。
〇 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置
非課税限度額などが縮小し、令和5年12月31日まで延長になりました。
〇 非上場株式等に係る納税猶予の特例制度
提出期限が令和6年3月末まで1年延長になりました。
法人:法人税関係
〇 人材確保等促進税制の改正(大企業向け)
税額控除率が最大30%に拡充されます。ただし、法人税額の20%が上限です。
〇 所得拡大促進税制の改正(中小企業者限定)(減税)
税額控除率が最大40%に拡充されます。ただし、法人税額の20%が上限です。
上記の2つは、自民党が賃上げ対策の為の優遇税制の拡充ですが、法人税額の20%の限度額の要件がある為、
効果は少ないのではないかと思います。
現行の給料が増加した場合の税額控除率でも法人税率の限度額要件に当てはまる会社が多いです。
つまり、拡充した税額控除率を利用しようとした場合、法人税が増額しなければ
利用ができないのではないかと思います。また、給料が増加すると経費が増えるため、
これまで以上の利益がでないと法人税が増額されないです。
法人税額の20%の上限を40%ぐらいにしてほしいですね。
〇 少額資産の損金算入制度について貸付用資産を除外
具体的には、ドローン、LED、足場節税などです。
具体的な対策は、ドローンだと、1台10万円以下のドローンを購入し、
会社の経費に計上します。その後、ドローンをレンタルし、1年で購入額相当額のレンタル収入をもらいます。
レンタル収入後はドローンは、会社の所有物になります。
購入年度は、経費になり節税になりますが、翌年度、収入に計上れます。
毎年、黒字の会社では、節税効果がないですが、たまたま、黒字が発生したような会社ではメリットが発生します。
〇 ソフトバンクグループ対策税制
一企業をタ-ゲットにした改正には正直驚きですが、当然の処置でしょう。
ソフトバンクグル-プは、税法の抜け道をみつけて法人税を支払わないので有名でしたから、、、、
因みに2018年の営業利益1.3兆円、2019年2.3兆円に対して支払った法人税は何と500万円だけです。
尚、制度の概要は、子会社からの配当を利用する方法の様ですが難しいので割愛します。
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?
増税、減税の両方がありますが、スロ-ガンである「成長と分配の好循環の実現」は出来るのでしょうかね!
尚、先にも触れましたが、今年は見送られましたが、暦年贈与課税が廃止される前に活用しましょう。