あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。
ゴールデンウィークは、いかがお過ごしでしょうか。
今日もお休みのところが多いのではないかと思います。
あさぎり会計も休みにしています。
最近、松下幸之助について勉強する機会があります。
松下幸之助が週休2日を導入された際には、労働組合から大きな反対があったそうです。
その際「一日休養、一日教養」を社員に求めて制度の導入を断行されたそうです。
働くことだけが人生でないので、社員にとって自由に使える連休の休みは良いことだと思います。
さて、4月19日に最高裁判決で路線価による財産評価が否認されました。
4月20日の日経新聞でも1面に取り上げられました。我々も非常に注目していた裁判でした!
過度な節税対策はダメよ
● 最高裁の判決
最高裁判所は、財産評価基本通達に基づき評価した相続税評価額が時価よりも低すぎるとして、
国税局が提示した不動産鑑定評価で評価するように司法判断が下されました。
財産評価基本通達とは法律ではないですか、相続財産の評価方法を具体的に定めている通達です。
納税者は、法律ではないのでこの通達を守らなくてもいいですが、
税務署は、通達を守る義務があるのです。この為、税理士もこの通達に従って
財産評価を行ってきました。国税局は、この通達の基本的な方法が著しく不公平だとして
不動産鑑定評価で最高裁判所は、著しく不適当で、他の納税者と間に看過しがたい
不均等が生じ税負担の公平に反するととして判断されたようです。
例えば、建物の評価は固定資産税評価に基づき評価することになっています。
固定資産税評価自体が時価より著しく低くなることは周知の事実です。
一般的に新築の場合、建築価格の4割ぐらいで評価されます。
固定資産税評価での方法が、時価よりも著しく低くても多くの税理士は固定資産税評価を採用して申告しています。
税理士で建物の固定資産税評価が本当の売買価格と考える税理士はいないかと思います。
私見では、逆に固定資産税評価で評価するから、他の納税者との間に看過しがたい
不均衡が生じないのではないかと思います。
不動産鑑定評価は、不動産鑑定士によって大きく評価が異なることがあります。
逆にこの不動産鑑定評価が他の納税者との不均衡を生じさせるのではないかと思います。
裁判官は、税法の事に詳しくないのではないかと思うぐらいです。
又、土地は、路線価(時価の8割評価)又は固定資産税評価(時価の7割評価)を基礎として評価します。
両方とも不動産鑑定評価を基に算出している為、極端に時価と乖離するケースは少ないです。
●今後の対策
最高裁の判決があっても、今後も多くの納税者(税理士)は、
時価のとの乖離があることを知っていても財産評価基本通達で評価するのではないかと思います。
特に気をつけないといけないのは、相続開始後数年のうちに売却する場合だと思います。
良く相続税の納税資金の確保の為、不動産を売却する場合があります。
この場合、相続時評価額と売却価額との差額が大きい場合には、売却価額か不動産鑑定評価で
相続税評価をしないといけないかもしれません。
また、不動産を売却すると納税資金が確保できるため、担税力があるとみなされます。
明らかに相続税評価額と売却価格の乖離が大きい物件を売却する場合には、
相続税の時効、せめて申告後3年後(一般的に税務調査があるのは3年位)が過ぎてから
売却された方がよいかもしれませんね。
編 集 後 記
今回の話はどうでしたか?税理士としては、注目すべき最高裁の判決でした。
今後税務当局がどうするのかが気になります。財産評価基本通達の一部を変えるのか、
著しく不適当なケースとして基準を作るのか、どうするのでしょうかね?