あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
早いもので今年も半年が終わりますね。
コロナも2年半が経過しますがボチボチ終焉ですかね!
街の飲食店も少しづつ活気が出てきたし、海外旅行にも行ける様になってきました。
また、外国人観光客などの受け入れも徐々に始まりますが、
これによる感染拡大が起きるかどうかが焦点でしょうね!
欧米人はマスクをしないですからね・・・・
逆に、これによる感染拡大が起きなければコロナ問題は終結でしょう。
私も秋には海外に行く予定なので動向を注視しています。
さて、本日のテーマですが、赤字会社を購入した場合の繰越欠損金の利用制限についてです。
赤字会社買収による繰越欠損金の利用制限
● 制 度 の 概 要
よく儲かっている会社の社長から、
「先生、赤字の会社を買ってきて、事業の一部をその赤字会社に移せば、
赤字(注)と相殺出来るから税金払わなくてもいいよね?」
と言った質問が結構あります。
なる程と言う気もしますが何か変ですよね!
実は、昔は、赤字会社を買収してその赤字を利用する事が出来ましたが、
現在は、原則、利用する事が出来ません。
そんなに上手い話はないのです。
では、原則と書きましたが法律上どうなっているのか簡単に説明します。
(注)法人税法上、青色申告をしている場合、過去の事業年度に発生した赤字を
最大10年間(平成30年4月1日前に開始した年度の赤字は9年間)、利益の出た事業年度の
利益と相殺する事が出来ます。
これを「繰越欠損金」と言います。
●繰 越 欠 損 金 の 制 限
法律上、赤字会社を買収した場合に、特定支配関係(注)になった日から
5年以内に下記の事由のいずれかに該当した場合には赤字会社の
繰越欠損金は利用出来ません。
(注)特定支配関係とは、当該他の者がその赤字会社の発行済株式等の
50%超を直接又は間接に保有する関係をいいます。
必然的に、会社を購入する場合には、買収した人が、50%超の株式保有になる為、
ポイントになるのは下記の事由です。
1. 休眠会社を復活させた場合
赤字の休眠会社を買ってきて新たに事業を開始(事業の付替え)するパタ-ン。
このケースが一番多い様な気がします。
2. その赤字会社の事業を買収後に全て廃止し、その赤字会社の行っていた事業の
5倍を超える借入等を行った場合
例えば、飲食店の会社が、赤字の建設会社を買収し、建設業の仕事は行なわず、
飲食店の店舗の一部を移すようなパタ-ン。
逆に、飲食店が飲食店を買収する場合には、同業種の買収になるので
繰越欠損金は利用出来ます。
3. 株の50%超を保有する株主(買収した人)が特定債権を取得したときに、
赤字会社の売上の5倍を超える資金の借り入れや出資を受けた場合
一般的に、赤字会社の場合には、代表者から資金提供や給料の未払などがあります。
これらを特定債権と言いますが、特定債権をそまま置いておくと、折角、会社を買収しても、
旧代表者への返済義務が残ります。
そこで、買収した人は、その債権を消したいので格安で購入した場合に、
この事由の制限がかかると言う事です。
4. 赤字会社の役員すべてが退任し、使用人の20%以上が退職し、
かつ、新事業の売上が旧赤字事業の5倍を超えるような場合
以上から、単純に繰越欠損金の利用目的の為に赤字会社を買収しても、
上記のどれかの事由に引っ掛かるので繰越欠損金は利用出来ないと考えて下さい。
買収した年度だけでなく5年間縛られるので現実的には厳しいのではないでしょうか?
5年寝かせれば利用出来ますが、だいぶ先ですね。。。。
編集後記
今回の話はどうでしたか?
世の中上手い話しはあまりないので注意しましょう。
また、赤字会社の買収が繰越欠損金の利用目的ではなく、純粋に、
赤字会社の復活させようと思って買収したにもかかわらず、上記のいずれかの
事由に該当すれば結果的に繰越欠損金は利用出来ません!
例えば、飲食店の会社が赤字の飲食店を買収して事業を行う場合に、
上記2の事由には該当しないが、スタッフ等を総入替えすると上記4の事由に該当し、
繰越欠損金が利用出来なくなるかもしれません。
会社の買収する場合には、思わぬ税務リスクがあるかもしれません!
最後に、本規定は複雑になる為、割愛している事もあるので詳細はご相談下さい。