作成者別アーカイブ: yamashita

★あさぎり通信vol.57 ビジネスモデルの変貌

 
 新年明けましておめでとうございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
 
昨年はメルマガ共々大変お世話になりました。
本年も引き続き宜しくお願いします。
 
 
 毎年思うのですが、12月から月が単に変わっただけなのですが
新年を迎えると何だか気持ちが高ぶるのは私だけでしょうか?!
 
 
今年も頑張りましょう!
 
 
 
 さて、新年最初のテーマは、ビジネスモデルの変貌についてです。
 
 
平成も終わりをつげようとする中、
弊所も含め既存のビジネスモデルから脱却し新しい何かを見つけなければなりません。
 
そんなヒントになれば幸いです。
 
 
 

既存のビジネスモデル

 
 
 ビジネス用語で、BtoBとかBtoCという言葉を聞いたことはありますか?
 
 
BtoBとはBusiness to Businessの略で商売において企業間の取引を言います。
BtoCとはBusiness to Consumerの略で商売において企業と一般消費者の取引の事を言います。
 
 
従来のビジネスモデルの多くは、上記のいずれかであり、
それに応じた商品開発や販促活動が行われてきたと思います。
 
ただ、成熟した日本のマ-ケットでは、単にモノを作って売るとか、何かのサ-ビスを提供するのでは
頭打ちになってきているのが現状ではないでしょうか?
 
 
 最近のビジネスモデルで CtoC という言葉を聞いた事はありますか?

これからのビジネモデルとして益々台頭してくると思われます。

 

CtoCとは

 
CtoC とは Consumer to Consumer の略で
商売において個人間取引を言います。

一般消費者同士がインタ-ネット上で商売(契約や販売)を行う事です。

これは、インタ-ネット、特にスマフォが爆発的に普及した為に広がってきた世界ですが
今後は更に拡大していくと思います。
 
 
CtoCの代表的なものとしては、
 
 
メルカリ:個人間フリ-マ-ケット
 
Uber : 自動車配車サ-ビス。
  日本では白タク行為に該当するので現状では難しいが海外では当たり前のサービスとなっている。
 
民泊:個人の家を宿として貸し出す
 
coconala : 個人の「得意(経験・知識・スキル)」をオンライン上で売り買いするサ-ビス
 
Lancers : 事業モデルはcoconalaと同じ
 
 
その他にもカ-シェアリングなどたくさんのCtoCの仕組みが増えてきています。
 
 
また、最近子供たちの中でも人気のユ-チュ-バ-という職業があります。
 
これも、一種のCtoCであり、個人から個人への情報発信が行われており、
新しい販促の方法になっているのではないでしょうか?
 
企業の広告(CM)も変わってくるかもしれません!
 
キムタクがカロ-ラに乗りますか!
北川景子や綾瀬はるかが、シチズンやセイコ-の時計を付けますかね~!!
 
これらの宣伝を、個人目線のユーチュ-バ-が取扱うと親近感がありますよね。
 
後は、食べログなんかもCtoCでしょうね-!
 
 
 さて、ここでポイントになるのが 仲介業者(プラットフォ-ム) です。
 
上記のCtoCモデルは個人同士が勝手に取引等をしているのではなく、
これらの仕組みを構築している人(企業)がいます。
 
 
今後、ビジネスを考える際に、これらのプラットフォ-ムの構築を目指すのも良し、
又、これらのプラットフォ-ムを利用するも良いですが、
 
大事なのは個人間の取引や力が大きくなってくる事を認識しなければいけないという事です。
 
既存のBtoBやBtoCの事業モデルも大切ですが
CtoCという取引形態を自社の商売に活用出来ないか考えてみてください。
 
 
 

 編集後記

 
 
今回の話はどうでしたか?
 
 
抽象的な話になってしまいましたが、
ビジネスモデル(マ-ケット)が変化しているという事を認識しなければ
今後取り残されてしまうかもしれません!!
 
 
ポイントは、個人の力だと思います。
 
個人の力を活用し、時代に取り残されないように頑張りましょう!
 
 
 
 
ちなみに、昨年末から弊所に税理士がもう1人増え、幅広いサービス・情報提供等が可能となりましたので、
改めて宜しくお願いいたします。

※ 弊所へのお電話に関するお知らせ ※

 
前回の投稿にてお知らせいたしました、
弊所の電話機故障によるお電話の受付不能状態についてでございますが、
 
先ほど仮復旧いたしましたことをお知らせいたします。
 
 
仮の復旧ですので、お電話いただいた際には
受付まで少々お時間を頂く等、依然としてご不便をおかけすることもあろうかと存じます。
 
本復旧までは何卒ご了承の程、よろしくお願い申し上げます。
 
 
平成30年11月26日
あさぎり会計事務所

※ 弊所へのお電話に関するお知らせ ※

 
あさぎり会計事務所より、弊所へのお電話に関する緊急のお知らせでございます。
 
 
 
ただ今、電話機の故障によりお電話をお受けできない状況となっております。
お電話が繋がらず混乱された方々には、お詫び申し上げます。 
 
 
現在復旧に努めておりますが、回復までのお電話につきましては、

弊所へご用の方はしばらくお待ちいただくか、
緊急のご用件の場合は、担当の方へ直接ご連絡いただきますよう、
 
どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 
復旧が出来次第こちらでもお知らせいたしますので、
 
お手数ですがまたどうぞご確認くださいませ。
 
 
 
平成30年11月26日
あさぎり会計事務所

★あさぎり通信vol.56 災害・被災時の特例その2

あさぎり会計の税理士の山根です。
 
 
さて、今回の内容は、前回の内容の続きで、災害・被災時の税金の特例です。
 
その1では、被災された方の特例制度の説明をしました。
今回その2では、被災された方へ支援した場合の税務上の特例制度についての内容です。
 
 
 

寄付し場合の取扱い

 
 
1.個人が国や地方公共団体、赤十字社等に支払った場合
 
 
下記のいずれか有利な金額を選択する
 
  〇 所得控除額 = 寄付金額(注)-2,000円
 
   (注)総所得金額の40%を限度
 
  〇 税額控除額
 
     = (寄付金と総所得金額の80%のいずれか低い額-2,000 円)×40%
 
   (注)ただし所得税額の25%が限度
 
 
 尚、一定の地方公共団体への寄付は ふるさと納税 が選択出来るため、
ふるさと納税を選択するのが最も有利となります。
 
今回の広島の豪雨災害はふるさと納税の対象となっています。
 
 
 
2.法人が国や地方公共団体、赤十字社等に支払った場合
 
 
支払った金額が全額損金として経費となる。
 
 

その他の特例

 
 
下記に該当する支出は損金(経費)となる。
 
 
 〇 従業員等に支給する災害見舞金品
 
 〇 災害見舞金に充てるために同業者団体等へ拠出する分担金
  支給を受けた側(人)も給与等で課税されない
 
 〇 取引先に対する災害見舞金等
 
 〇 取引先に対する売掛金等の免除等
 
 〇 取引先に対する低利又は無利息による融資
 
 〇 災害見舞金に充てるために同業者団体等へ拠出する分担金等
 
 〇 自社製品等の被災者に対する提供
 
 
尚、上記の詳細について気になる方はお問合せ下さい。
 
 
 

編集後記

 
 
今年は全国的に本当に災害続きで、広島も例外ではなく大変な1年でした。
最近はニュ-スでもあまり報道されなくなりましたが、まだまだ復旧が進んでないと所もあると思います。
 
1日も早い復興を願うばかりです。
 
 
前回と今回の2回に渡り、災害関連の内容をまとめてみましたが、色々とあります。
実際の適用に関しては、細かい適用要件があったりするので、
利用時には必ず税務署や税理士或いは弊所に確認しましょう!

★あさぎり通信vol.55 掛け捨ての生命保険料が安くなるかも

今回のテーマは、
 
2018年春、生命保険の保険料の算出の基礎とされている 予定死亡率 の改定が行われたことにより、
一部の保険について保険料が下がったことについてのお話です。
 
 
なぜ、保険料が下がるのか?
 
 
保険料の基本的な仕組みを知ることにより、理解ができるのではないかと思います。
 
 
 

保険料の基本的な仕組み

 
 
保険料の算定の基本を知っておくと、保険の見直しに役立つと思います。
 
 
保険料の算出は、3つの要素で構成されています。
 
 
○ 予定死亡率   年齢、性別ごとの死亡率
 
○ 予定利率    保険会社の資産運用率
 
○ 予定事業費率  保険会社の事業運営の経費率

 
上記の3つの要素で保険料が計算されています。
 
また、上記3つの要素と実際の率との差額が、保険会社の利益になります。
 
 
 現状は、予定していた死亡者数が実際より少ない為、生命保険金の支払いが少ないようです。
この差額が保険会社の利益になり、保険会社の利益の70%を占めているようです。
 
保険会社は、利益が多額に発生している為、死亡予定率を現実の数値に近い数値に変更されました。
これにより、掛け捨ての死亡保険の保険料が下がるようになりました
 
 
逆に、医療保険は、長生きをする人が増え、医療保険金の給付が増える予定なので保険料は増加します。
 
 
また、貯蓄性の高い生命保険金は、マイナス金利の影響により予定利率が低いため保険料が高くなります。
 
実際に、今年の4月以降貯蓄性の高い生命保険の保険料が上がっています
 
 
ネット販売の生命保険は、人件費、営業経費等の予定事業費率が低い為、
大手の生命保険に比べ保険料が低くなっています。
 
 
上記の様に保険料の基本的な仕組みを理解することにより、
なぜ保険料が高くなるのか、低くなるのかの判断ができるようになり、
保険の見直しに役に立つのではないかと思います。
 
 
 

編集後記

 
 
 定期的な保険の見直しをされていますか???
 
 
生命保険、医療保険は、加入者の所得や財産、生活環境、加入時期によって、
加入すべき保険が変わってきます。
 
また、保険のメリット、デメリットも加入者ごとに変わってきます。
同じ保険でもある人にとってメリットであっても、他の人ではデメリットになることもあります。
 
 
例えば、医療保険などは、医療制度にあった医療保険に加入する必要があると思います。
最近の医療制度は、入院期間が短くなっています。
入院給付金がもらえる保険でも入院期間が短ければ、もらえる医療保険が少なくなります。
最近の契約は、通院でも保険金が給付されるものが主流です。
昔の医療保険は、通院給付金がついていないものが多いので、その様な医療保険は見直しが必要かもしれません。
 
 
保険に加入して損しない為には、保険の基本的な仕組みを理解し、定期的な保険の見直しをお勧めします。

★あさぎり通信vol.54 経営セーフティ共済の落とし穴

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。
 
 
 
 秋になり運動会シーズンですね。
今年は、週末に台風が接近して、
運動会の開催日にふりまわされた方も多かったのではないでしょうか?
 
 
私の子供が通っている幼稚園では、開催日が2日延期になりましたが、
当日は晴天に恵まれ暑い日でした。
 
息子は、今年初めての運動会でした。
演技の集団行動では誰よりも自由にグラウンドを駆け回っていました。
協調性のないところは私の血を引いたのかな!
 
楽しそうな子供を見ていて,いい幼稚園に通っていると安心しました。
この幼稚園、市内の中心部の幼稚園なのに、山の一部が園庭になっています。
 
自然豊かな教育環境になっており、
結構急な坂道があったり、木からロープでつるしたブランコがあったり、虫取りができたりもします。
自然豊かな環境ですくすく成長するのを願うばかりです。
 
 
 
 さて、前置きが長くなってしまいましたが、
今回のテーマは、ご存知の方も多い経営セ-フティ共済です。
 
 
 

制度の概要

 
 
 経営セ-フティ共済とは、独立行政法人 中小企業基盤整備機構によって運用され、
得意先が倒産した場合に、借入ができる制度です。
 
昔は、 倒産防止共済 と呼ばれていました。
 
 
 
経営セ-フティ共済のメリット

1 得意先が倒産した場合、無担保・無保証で掛金の10倍(上限8,000万円)まで借入ができる。
 
2 掛金は、毎月5,000円~200,000円に設定できて、掛金の増額、減額が自由にできる。
  掛金は、全額を法人、個人事業主の経費に計上できる(注)。年払いも可能。
  掛金は、累計800万円まで。
 
  (注)個人の不動産賃貸事業は、経費に計上することができません。
 
3 解約した場合には、解約手当金が受け取ることができる。
  掛金期間が12か月以上の場合、掛金の8割以上が戻り、
  40か月以上の場合には、掛金が全額戻ってくる。
  尚、解約手当金は、全額収入計上
 
 
本来の目的だけでなく、上記2、3の理由により
節税対策で経営セ-フティ共済に加入される方が多いのではないでしょうか。
 
 

理由としては
 
  〇 将来退職金の原資として貯蓄する
 
  〇 将来の大規模修繕費として貯蓄する(主に不動産賃貸業の会社)
 
  〇 業績が悪化した時に解約し運転資金に利用する
 
  〇 借入をした場合に掛金が徴収される(利息みたいなもの)
 
                         などです。
 
 
 

経営セ-フティ共済の落とし穴

 
 
■経営セ-フティ共済の掛金を税務上経費にするためには、
下記の要件に該当しないと掛金をいくら払ったとしても税務上の経費に計上することができません。
 
 
~法人の場合~
 
「特定の基金に対する負担金等の損金に関する明細書」と
適用額明細書に記載して確定申告書に添付しなければいけません。
 
~個人の場合~
 
「中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書」を確定申告書に添付しなければいけません。
 
分かりにくいですが、税務署に一定の書類の提出が必要ということです。
 
この書類を添付せずに申告をしている場合には、
掛金をいくら支払っていたとしても経費に計上することができません。
 
経営セ-フティ共済に加入されている方は、上記の書類があるかどうか確認されてみてください。
 
 
 
■経営セ-フティ共済の掛金の年払いは、毎年、手続きが必要です。
 
掛金を年払いした場合、翌年度も年払いの手続きをしないと、月払いに自動的に変わります。
 
前年、掛金を年払いし、今年も年払いで節税対策を考えていた場合、
手続きをしないと月払いになります。
この手続きを失念される方が多いです。
 
金融機関などで手続きをされている場合には、年払いの案内が行われないです。
 
税理士会で手続きをされている場合には、
税理士に年払いの案内が郵送され顧問先に届くことになります。
 
年払いをする場合には、顧問税理士に依頼して税理士会で手続きをされることをお勧めします。
 
 
 

編集後記

 
 
今回の話はどうでしたか?
 
 
節税対策で経営セ-フティ共済を利用する方法を知っている方はいると思います。
 
ただ、確定申告書に一定の書類が添付されないと経費にできないことを知っている人は、
少なかったかもしれません。
 
税理士も理解をしていても、いざとなると確定申告の際に添付することを失念することがあります。
税理士としてあってはならないことです。
 
 
また、年払いの手続きもよく忘れるので気を付けましょう!

★あさぎり通信vol.53 2年払いの医療保険で節税

 あさぎり会計事務所の山根です。

本日のテーマは「医療保険で節税」です。
 

概要

 
 
( 概 要 )
 
 
法人(会社)契約の医療保険に加入すると、
 
 ○ 保険料は会社の損金(経費)
 ○ 入院・手術等の入院給付金は会社の益金(収入)
 
が、原則的な取り扱いとなります。
 

 なんだ~という感じかもしれませんが、某保険会社(ヒント:アヒル)から、
何と!何と!2年間の支払で、一生の保障がもらえる商品が発売されております。
 
勿論、2年間で支払う保険料は、法人の損金です。
 
そして、ポイントは保険料の支払いが終わった後に、個人に名義を変更するという、
何だか、嘘のような本当の話、プランです。
 
しかも、法人から個人への名義変更は解約返戻金となりますが非常に定額(注)です。
 
  (注)入院給付金日額×10 ・・・ 入院給付金が1日1万円なら10万円
 
 
 
 流れを整理すると、
 
  ○ 法人で医療保険に加入
 
  ○ 2年で保険料を支払う → 保険料は損金
 
  ○ 保険料の支払い終了後、どこかのタイミングで解約返戻金相当額で個人に名義変更
 
  ○ 個人は、ほぼ無償で一生の医療保険を受けることが出来る
 
 
 
( 具 体 例 )
 
 
 実際、どれ位の金額になるか、私(年齢45歳)の例を記載します。
 
 
入院給付金日額1万円の場合で年間保険料130万円です。
 
これが、2年分を損金で落とすことが出来ます。
 
入院給付金の日額上限は原則2万円なので、
私の場合の例だと最高260万円を1年間で損金に落とせます。
 
加入人数を増やせば、結構な金額を損金にすることが出来ます。
 
 
尚、支払期間5年も可能ですが、保険料が少し割高(約7%)になります。
 
 

税務上否認されないのか

 
 
 では、税務上否認されないのか? というのが問題として思い浮かびますね。
 
 
個人的な見解ですが、ギリギリセーフだと思っています。
 
ちなみに、販売の保険会社も絶対に大丈夫だとは断言していません。
 
 
ギリギリセーフだなと思う私の根拠は以下です。
 
  ○ 名義変更時に、税務上の規定である時価(解約返戻金)で変更している
 
  ○ 名義変更時には、保険料の支払いは完了している
 
  ○ 将来、必ず、個人が利益を得る保証はない(注)
 
  (注)税務上、問題となるのは、法人で損金にしておいて、その後、個人に名義を変更し、
     その個人が利益を受け、しかも税金を払わないというスキームです。
 
 
 この件については、以前のあさぎり通信でもご説明したので詳細は省略しますが、
逓増定期を利用したスキームです。
 
 
 法人で契約し、解約返戻金が少額な3,4年後に個人に名義を変更し、
その後解約し、少額な税金で個人が保険金を受け取る、というスキームです。
 
これは、法人で損金に計上し、個人で利益(保険金)を受け、
しかもその個人が税金を逃れるという、とんでもない内容です。
 
一部の外資系の保険会社がいまだに提案しているスキームです。
 
 
これは、税金逃れ行為(租税回避行為)だけのスキームで、クロだと思っています。
 
 
 名義変更という観点からは、今回の「医療保険スキーム」も同じですが、
先にも記載した様な理由、特に、3番目の個人が利益を受ける保証がないという観点から
シロでいいのかな~と考えています。
 
 
病気にならなければ、払い損で、お金はほぼ戻らないですからね!
 
勿論、個人に名義変更をしなければ何も問題はありません。
 
 
ただし、法人契約の医療保険はお勧めしません。
 
保険金を受け取ると、法人の収入となり、
個人には「見舞金」として、多くても10万円程度しか渡せないからです。
 
 

編集後記

 
 
 今回の話はどうでしたか?
 
 
少し気持ち悪さは残りますが、法人で利益が出ていて、
医療保険を払っている人や今から入ろうお持っている人には最適ではないでしょうか!!
 
 
 法人の損金に落として個人に持っていける!
更に、何十年と支払い続けるのではなく、2年で勝負が決まるのも魅力だと思います。
私も加入しようと思っています。
 
今のうちかもしれませんよ!!
 
税務署がいつまでも許してくれる保証はありません!!
 
 
興味のある方は、弊所までお問い合わせください。

★あさぎり通信vol.52 災害・被災時の税金の特例その1

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

10月になって秋らしく涼しくなりましたね!
 
ただ涼しくなるまでに、今年の夏は本当に暑く、
その上大阪の地震や広島・岡山の豪雨災害そして北海道の地震と
度重なる災害の多い1年となっています。
 
不幸にも被災された場合には、
生活に困窮しない為の税金の配慮や、
被災した人への支援をした場合の税金の特例が色々とあります。
 
 
本日のテーマは、特例制度を利用する方が多いと思われますので
これらの制度をまとめてみました。
 
量が多いので2回に分けての説明になります。
今回は、被災された方の特例制度の説明です。
参考にして頂ければ幸いです。
 
 
 

個人の方が被災された場合の特例(所得税)

 
 
(1) 災害減免法による所得税の軽減免除
 
(要 件)
 
 〇 災害によって住宅や家財に損害を受けた場合
 〇 その損害金額(保険で補填された金額を除く)がその住宅や家財の価額の1/2以上
 〇 被災した年の所得金額が1,000万円以下
 
  以上の要件に該当した場合には下記の金額を軽減または免除
 
 
(軽 減 さ れ る 金 額)
 
 〇 所得金額が500万円以下の人→所得税の額の全額
 〇 所得金額が500~750万円の人→所得税の額の1/2
 〇 所得金額が750~1000万円の人→所得税の額の1/4
 
 
(2)雑損控除
 
(要 件)
 
 災害によって、住宅家財を含む生活に通常必要な資産に被害を受けた場合には
下記の金額を雑損控除として所得控除できる
 
 
(雑 損 控 除 額)
 
次の(A),(B)のいずれか多い金額
 
 (A) 差引損失額(注)-総所得金額×10%
 (B) 差引損失額(注)のうち災害関連支出金額-5万円
 
 (注)差引損失額=損害金額+災害関連支出金額-保険補填額
 
 
※ 注 意 ※
 
 〇(1)と(2)は有利な方の選択となります。
  一般的には、所得金額が500万円以下の場合には(1)が有利
 〇(1),(2)ともに所得税の確定申告が必要です。
 〇 いずれも住宅等の生活に関連する損害です
    生活には関係ない山や土地を持っている人は修理費等が自腹になるので大変です!
    国等は寄付等で引き取ってくれません!酷い話です。
 
 
(3)申告・納税等の申告期限の延長
 
   免除 ではないですよ!!
 
  単なる 延長 ですよ!!
 
 
 

法人の方が被災された場合の特例(法人税)

 
 
(1)災害により資産等が滅失した場合
 
 法人の所有する商品、店舗、事務所等の資産が災害により被害を受けた場合に、
その被災に伴い生じた下記の様な金額は損金の額に算入される。
 
 
 〇 商品等の棚卸資産、店舗等の固定資産などの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失
 〇 損壊した資産の取壊し又は除却の為の費用
 〇 土砂等の障害物の除却の為の費用
 
 
(2) 資産の評価損
 
 法人の所有する棚卸資産・固定資産等につき災害より著しい損害が生じ、
それらの資産の価額が帳簿価額を下回った場合には、
帳簿価額とそれらの資産の価額の差額を評価損として損金の額に出来る。
 
 
(3) その他
 
 その他に下記の様な特例があります。
詳しい説明は割愛しますので気になる方はお問合せ下さい。
 
 〇 災害による損失金の繰越し
 〇 災害損失欠損金の繰戻しによる還付
 〇 中間申告における災害損失金額に係る所得税額の還付
 
 
 

編集後記

 
 
 今年の確定申告は災害関連の申告が増えると予想されますが、
被災された方はまずは早目に罹災証明書を取得しておく事をお勧めします。
 
 
何か申告等でお困りの場合には弊所に遠慮なくお問い合わせください。
 
 
最後に、改めまして被災された方の1日も早い復興を願うばかりです。

★あさぎり通信vol.51 相続争い時、どの様に税理士に頼むべきか?

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。
 
 
 
 先日の日経新聞に、ふるさと納税の記事がありました。
 
「高額すぎる返礼品などを行う地方自治体については、
税の優遇処置をなくすことを検討する」という内容でした。
 
 
 ふるさと納税自体はいい制度ではないかと思います。
 
 私自身もふるさと納税を利用していまして、
ふるさと納税により地方の特産品などを知るようになりました。
 
 
 しかしながら一部の地方自治体では、
確かに返戻品が高額すぎる所もあるようです。
 
 
 最近では、還元率50%でHIS等のギフト券がもらるようです。
更にこのおまけでマグロや米も貰えるとか。
 
 ある社長さんは、このギフト券を使用し出張されているみたいです。
 かなりお得ですね!!!
 
 
 ただ、ふるさと納税の趣旨からは、
確かに少し逸脱してしまっているような気もします・・・
 
 
 
 さて、本日のテーマは、
相続で遺産分割がもめた場合の税理士への依頼の仕方についてです。
 
 
留意されておいたほうが良い点など、
ご存じない方が多い様なので解説したいと思います。
 
 

相続税の納税義務者

 
 
 相続税の納税義務者は、相続又は遺贈により財産を取得した者になります。
 
 
つまり、相続税の申告については、
相続財産を取得した者一人一人が納税義務者となり相続税の申告が必要になります。
当然、相続人一人一人が税理士に税務委任をする必要があります。
 
 
 相続の遺産分割協議において争いがない場合には、
通常は相続財産を取得した人が共同で1人の税理士に依頼して、
相続税申告書を作成し、提出することになります。
 
 
多くは、このパターンです。
 
 
 弊所でも、大半の相続税の申告は相続人代表の方と進めていき、
最終的に相続人全員から委任を受け、税務申告を行っています。
 
 
 
 一方、争いがおきた場合には、
税理士は、相続人全員から税務委任を受けるのが難しくなります。
 そうなると税務委任を受けた相続人だけしか税務申告を行う事ができなくなります。
 
 
弁護士の先生でさえ、
相続税の申告書は、争いがおきている場合でも
一人の税理士が作成するものだと思われている方が多い様な気がします。
 
が、
 
相続税の申告書は、相続人ごと、つまり一人一人作成することが可能なのです。
 
 

別々の税理士にお願いをする場合の留意点

 
 
 
 相続人が長男と次男で、2人が争っているというケースを例に説明していきます。
 
 
 ここでは、別々の税理士に依頼するのは、
次男が長男の依頼した税理士を信用できないから、ということにしましょう。
 
 
 
 第一に次男からみれば、長男と税理士は結託していると思い、信用できない。
 
 
 また、税理士が長男から依頼を受け、相続対策を行っている場合には、
ついつい長男の味方をするのが一般的だと思います。
 
 
 この場合において、
長男の税理士が過去の相続対策について、
争いをしている次男に積極的に詳しく説明するとは考えにくいです。
 
そのため次男から見れば、長男の税理士を信用できないのは当たり前です。
この様な時、次男は信用できる税理士にお願いをすることが出来るのです。
 
 
ただし、
 
 
 相続財産の中に特殊な土地や同族会社の株式がある場合には、
税理士によって評価額が大きく変わります。
 よって同じ財産なのに長男の申告と次男の申告の数字が異なるという現象が起きます。
 
 
 また、長男・次男はそれぞれの税理士に税理士報酬を支払うことになります。
相続争いになると無駄に費用がかかってしまう、ということです。
 
 
 やはり、相続争いが起きないように相続対策をした方が良いですね。
 
 

編集後記

 
 
 
 今回の話はどうでしたか?
 
 
 最近、弊所でも相続税申告の依頼を受ける際に
相続の争いにより相続人の一部からのみを受けるケースが増えてきました。
 
 
 争いがおきた場合には、信頼のできる税理士に依頼をすることをお勧めします。
 
 
 なによりも大切なのは、相続対策により揉めない相続にする事です。
 
 
 過去の記事でも書きましたが、
わかっていても対策を行わない方が多いという事は、ただ残念に思います・・・。

★あさぎり通信vol.50 税務調査について

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
 
 
暑かった夏が終わりましたね~秋ですね~
 
秋と言えば「税務調査」の秋です!
 
税務調査の秋に備えましょうということで、
今回は全部で4構成に分けて、いろいろな角度からお話ししていきたいと思います。
 
 
内容は以下の通りです。
 
1.税務署はどの様に税務調査先を選定しているのか?
 
2.そもそも税務調査は強制なのだろうか?
 
3.税務調査を受ける時の留意点
 
4.税務調査の最終局面でよくある事
 
 

1.税務署はどの様に税務調査先を選定しているのか?

  
 
● 調査先の選定方法
 
 
 税務署では、まず、法人を過去の申告状況から以下の3グル-プに分けています。
 
 
   1. 申告・納税の実績が良好な法人
 
   2. 過去に不正(重加算税)があった法人
 
   3. 上記のいずれにも属さない法人 → 大半の法人がここの分類
 
 
 1.の法人については、前年と比べ売上・利益等、資産・負債の変動が少なければ
税務調査はスル-される可能性が高いでしょう
 
 2.の法人につては、定期的(3年)に税務調査があります
  
 3.の法人が数的に圧倒的に多く、結果、選定されやすいのですが、
その中で、前年と比べ売上・利益等、資産・負債の変動が大きい法人が税務調査になる様です。
 
 
 又、税理士が変わると税務調査に入られるという話がありますが、これには根拠があるんです。
 
 税理士によって、それぞれ科目(仕訳)の癖があるので、
前税理士と違う科目にする事によって表面的に決算書の数値が大きく変動する場合があるのです。
 
税理士が変わった場合には、科目変動が出ない様にリクエストした方がいいでしょう!
 
倫理的に、チクる税理士は居ないと思いますが・・・あまり変な止め方は危険かも・・・
 
 
それから、上記の2.の分類法人になると、定期的な税務調査から逃れられなくなるので、
面倒でも、重加算税となる修正申告だけは避るべきです。
 
 
 
●  決算月による調査時期の選定
 
 
 まず、税務署の内部的な話ですが、

7月~12月を上期、1月~6月を下期に分け、
職員は、3年に1度原則引き継ぎなしで、7月の頭に異動になる、という事があります。
 
 
 次に、税務調査の行われる主な時期は、

   9~12月(秋)と

   4~6月(春)に、  集中します。

  
 税務調査が秋になるか春になるかはランダムではなく、決算月によって分類されている様です。
 
   〇 2月~5月(4ヶ月分)決算法人については、7.8月に選定し秋の調査
 
   〇 6月~1月(8ヶ月分)決算法人については、1.2月に選定し春の調査
 

                              が原則です。
 
 う~ん!何か変ですよね!!
 
秋と春の選定では、4ヶ月分と8ヶ月分で、月数だけ見ると倍違いますね!!
 
ただ、日本の法人は3月決算法人の数が圧倒的に多く、数的には同じ位になる様です。
 
 
 では、実務上は、秋と春の税務調査では、どちらが楽なのでしょうか?
 
答えは、春の税務調査の方が楽です。
 
 理由は、

 ■ 秋の税務調査はタイムリミットが翌年6月まであるので中々妥協しない

   逆に、春の税務調査はタイムリミットが6月までと短く、
   物理的に終わらせる必要があるので、比較的妥協してくれる可能性が高くなる
 
 ■ 秋の税務調査で、頑張った方が、署内での人事評価等が高い

   どうせ頑張るのなら、春より秋に頑張った方が出世できる
 
 
 以上が、決算月と税務調査の時期との関係ですが、
この原則に当てはまらない場合には、
何かネタを掴んでいる決め打ちだと思った方がいいでしょうね!!
 
 
 
●  まとめ
 

 税務調査って、何か嫌ですよね!!
 
ちゃんとやっていれば怖くはないけど、でも面倒くさいですよね~!
 
 特に、秋の税務調査は大変なので、
2月~5月決算法人については、決算期変更を検討してもいいのかもしれませんね!
 決算期の変更は、登記事項ではなく、
定款の変更(株主総会)だけで出来るので、手続きは非常に簡単です。
 
 
 最後に、1年の内で最も税務調査に入られる可能性が低い決算月は何月かお分かりですよね!?!
 
分からない方、気になる方はご連絡下さい。
 
 

2.そもそも税務調査は強制なのだろうか?

 
 
● 税務調査は断れるのか
 
 
 さて、次のテーマに参ります。

 そもそも論ですが、税務調査って断れないのだろうか?強制なのか?
と思ったことはありませんか?
 
 
 結論から言うと、事実上断れません!!
 
 
 まず、税務調査には、強制調査 と 任意調査 があります。
 
 
強制調査
 
 国税局査察部(通称マルサ)が、裁判所の令状を得て強制的に行うもので、断ることはできません。
 
 脱税額が1億円を超える等、相当悪質な場合が対象なので、
あまり心配しなくていいでしょうし、遭うことはないでしょうね!!
 
私も、マルサの税務調査には、立ち会った事はありません!
そのような筋の悪いお客さんは居ませんので・・・
 
 
任意調査
 
 通常、税務調査と言うとこの任意調査に該当します。
 
 任意なので断れそうな気もするのですが、
税務職員は「質問検査権」という、納税者に質問する権利が与えられており、
納税者はこの質問を黙秘したり、虚偽の陳述ができないのです。
 
断ったり、嘘を言うと1年以下の懲役又は50万円以下の罰金があります。
 
という事は、事実上断れないですよね!!
任意というのはあくまでもマルサの強制調査に対応する言葉なのでしょう。
言葉は「任意」ですが、実態は任意じゃありません・・・。
 
 
また、取引先に対する「反面調査」というものがありますが、これも同様に断れません!
 
 取引先に「反面調査」が実施されると信用失墜等で経営上影響を及ぼすかもしれませんが、
法律上、税務職員は事前通知なしで実施する事が出来ます。
 
 
 ただし、国税庁の事務運営指針(税務職員が守らなければならない内規)の中に、
 
   「反面調査の実施は、
    取引先等に対する反面調査の実施に当たっては、
    その必要性と反面調査先への事前連絡の適否十分検討する。」
 
 
とありましたので、
提示した帳簿や書類では物足りない理由・その必要性は何なのかは、主張・反論出来ます。
反面調査でも、何でもかんでも許されるわけではありません。
 
 
 また、実務的には、取引先に反面調査に行くのなら「一言言ってよ」とお願いすると、
事前に教えてくれるケースが多いようです。
 
後で、無用なトラブルになるのを避けたいのでしょうね!!
 
 
 
● 無予告調査について
 
 
 ある日突然、事前の通知もなく税務署が来る場合があります。
 
これを、俗に「無予告調査」と言いますが、
これは許されるのでしょうか?断れるのでしょうか?
突然来たら嫌ですよね!恐いですよね!
 
 
 マルサの強制調査でなければ、とりあえず断りましょう!
一旦会社に入れてしまうと、調査は始まってしまいます!
 
 では、法的に断れるかどうかが問題ですが、
まず国税通則法という法律で、税務調査は原則、事前通知が必要となっています。
 
 
 更に、事務運営指針にも、以下のように書かれています。
 
 
事前通知を行わない場合の手続
 
 実施の調査を行う場合において、納税義務者の申告若しくは過去の調査結果の内容又は
その営む事業内容に関する情報その他国税庁、国税局又は税務署がその時点で保有する情報に鑑み、
 
(1) 違法又は不当な行為を容易に旨、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ
 
(2) その国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、
   事前通知を行わないものとする
 

 又、通達(これも税務職員が守らなければならない内規)に5つ例示が出ています。
 
 全部書くと長くなるので割愛しますが、
全ての例示に「合理的にに推認される場合」という文言が入っています。
 
 したがって、過去の申告状況や集めた情報から、
事前通知をすると隠したり逃げたりする等が
合理的に推認される場合以外は、事前通知が必要という事です。
 
 
 尚、予告調査の対象とされ易いのは、飲食店等の現金商売ですが、
単に「現金取引」だからだという理由だけでは絶対に許されません!
  
勿論、表現が抽象的ではありますが、反論の余地は十分あると思います。
合理的な説明を求めてください!!
 
 
 まあ、いずれにしても、税理士が来るまでは断る事・入れない事です。
 
 それでも言う事を聞かない場合には、次に会うアポだけを決めて帰ってもらいましょう。
最終的には、税務調査にはなりますが、
初動体制の不備を指摘すれば、その後の調査が有利になる場合があります。
 
 実際、弊所でも無予告調査で調査を開始しようとした事に、猛烈に抗議した結果、
その後の調査が有耶無耶に終わったケースもあります。
 
 毅然とした態度で臨みましょう。
 
 
 
● まとめ
 
 
 税務調査については、平成25年度より国税通則法の改正や事務運営指針により、
我々が思っている以上に、税務署(税務職員)がこと細かく縛られる様になり、
非常に神経質になっています。
 
 にもかかわらず、昔ながらの方法で調査が進められる場合もあります。
 
 税務調査の手続きや進め方については、確実に変わっていますので、
何でもかんでも税務署の言う事が正しいのではない!という事だけは覚えておきましょう。
 
 
 

3.税務調査を受ける時の留意点

 
 
●  録音について

 税務調査でよく問題になるのが、
あの時言った・言わないで、後で揉める事です。
 
 
 でも、録音しておけばこんな初歩的な問題は解決出来ますよね。
 
 
 ここで、悩むというか問題なのが、そもそも録音はしていいのか?という事。
 

 録音は問題ありません。
法律上、特に禁止はされていません。
 
 
 又、2002年の2月の京都地裁で
  「違法な調査を受けた原告が、
   ・・・(中略)・・・
   調査の様子を撮影・録音することにやむを得ない面がある・・・」
 
という判例も限定的とはいえあります。
 
 
 ただし、税務署は録音する事を非常に嫌がりますし、
 
馬鹿の一つ覚えの様に
「守秘義務の観点から・・・」と、止めて下さいと言ってくると思います。
 
 
 何の、誰の為の守秘義務なんでしょうかね!!
 
 自分の会社の情報を自分で開示しても守秘義務違反になんかならないでしょ!
 
 
 とは言え、あからさまに録音すると調査が進まない可能性があるので、
筆箱の中か、ス-ツの中で、分からない様に録音しましょう!
 
こっそり録音すると今度は、盗聴と因縁をつけてくるかもしれませんが、
自分の会社の内容の「記録」を取る為に税務調査官との対話を録音するだけですから
盗聴になんてなりません!
 
 最終的に何も無ければ削除すればいいのですから、必ず録音はしましょう!
 
 
 
●  パソコンの中身について
 
 
 税務調査の過程でよくある光景で、
 
 
 調査官:「社長ちょっとパソコンの中身を見せてもらっていいですか?」

 社長 :「あ、いいですよ」

 調査官:「後、中身について、その都度印刷してもらうとお手間なので、
      USBに落としてもいいですか?」
 
 社長 :「あ、まあ、いいですが・・・」
 
 
なんて事があります。
 
 何か断りにくいですが、こういう場合はキッパリ断りましょう。
 
  
 国税庁のHPの税務調査手続に関するFAQの問5に次の様に書いてあります。

  Q:提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、
    どのような方法で提示・提出すればよいのでしょうか。
 
  A:帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、
    提示については、その内容をディスプレイの画面上で
    調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくことになります。
    一方、提出については、通常は・・・(中略)・・・
    プリントアウトしたものをお渡しいただくこととなります。
 
となっています。
 
 
 調査官からパソコンを見たいと言われたら、その部分を画面上で見せ、
印刷してくれと言われたら、どうして必要なのか理由を聞いて、
その部分だけを印刷して渡して下さい。
 
USBでデータを渡すなんてもっての他です!!
 
最近は、削除したデ-タを簡単に復元出来るソフトがありますよ!!
 
 
 会社の社長のパソコンには、取引先等の色々な機密情報や、
プライベ-トなメ-ル等もたくさんあると思うので、気を付けましょう。
 
 特に、見られても、デ-タを取られても全く問題がない、
過去に変なデ-タを削除した事がない、
プライベ-トな物が100%無いと言い切れるのならいいですが、
自信のない場合には、必要な部分だけを印刷して渡すようにしましょう。
 
 
 
●  まとめ
 
 
 税務調査は、普段慣れていないので、緊張してビクビクする方が大半だと思いますが、
税務署が言う事が正しくなかったり、調査方法が正規の手続きに準じてない事もあります。
 
この様な時に、何の知識も無く、言われるがままに対応すると
同意した事になってしまうので、後で文句等が言えなくなります。
 
 
このような場合もまた、恐れずに毅然とした態度で臨みましょう。
 
 
 

4.税務調査の最終局面でよくある事

 
 
● 質問応答記録等の署名について
 
 
 さて、税務調査も最終局面になってくると、
 
「質問応答書」「質問顛末書」「確認書」「申述書」など・・・
 
名称は様々ですが、書類に目を通してもらった後に署名を求められるケースがあります。
 
 
署名するって、なんか気持ち悪いですよね・・・!
 
 署名をする事を断っていいのか?
 署名を拒むと何か罰則があるのか?
 
等々、悩むと思いますが、断って大丈夫です!
というか、断りましょう!
 
 
 税務署側が、何故、これらの書類を欲しがるかと言えば、
否認するための明確な根拠が薄いため、自白供述として証拠固めをしたいからです。
 
 
 したがってわざわざ協力する必要はないですし、
しかも、法律的にも義務ではありません。
あくまでも任意です。
 
 
 逆に言うと、強硬にこれらの書類に署名を求めてくる場合には、
否認根拠が薄いとも取れますよね!
 
 
 過去の経験上、明らかに反省の意味を込めさせて(売上除外等明らかに悪質な場合)
署名させられる場合もありますが、
多くは、否認根拠が薄いケースが多いと思います。
 
 
 又、「一筆重課(注)」なんていう俗語もあるくらいですから、署名には慎重になりましょう!
 
    (注)重課というのは、重加算税の略で、字の如く、
       金額的にも処分的にも重い罰則です。
 
 
 尚、税務署側は、納税者がこれらの書類に署名しない場合には、
署名しない理由を記載して書類を完成させます。
 
 
 書類上は、署名があっても無くても証拠書類としては同じだとも言われていますが、
個人的には、何かあった時にはやはり署名があるほうが強いと思うので、
署名は避けたほうがいいと思います。
 
 
 
● 税務調査終了の3パターン
 
 
 税務調査の終結は3パターンしかありません。
 
 
 1.申告是認

  一番いいパターンで、何も修正しなくてよい、問題がないケースです。
  この場合、税務署から非違がない旨の通知書が送られてきます。
 
 
 2.修正申告書の提出
 
  一番多いパターンで、指摘された事項を修正し、納税者が自ら申告書を提出します。
  この場合には、「不服も無視縦は賦課であるが、更正の請求はできる」旨等を記載した、
  「修正申告等の法的効果の教示分」に署名・押印が必要です。
  
  わかりにくいかもしれませんが、
  修正申告書を出すと、後で気が変わっても税務署を訴える事は出来ないという事です。
 
  どうしても納得がいかなければ、修正申告書を出さない事です!
 
 
 3.更正処分
 
  上記2で、指摘事項に納得できず、修正申告書を提出しない場合に、
  税務署長が更正を行い税額等を決定し、その金額を納税しなければなりません。
 
  税額等が決定され、納税までしないといけません!!
 
  上記2と何が違うかと言えば、後で、税務署を相手に喧嘩を売れるか売れないかです。
 
 
   修正申告書を提出した場合には、訴えることが出来ない
   更正処分の場合には、訴える事が出来る

  ただ、一旦納税をしてからの戦いなので、
  資金繰りや勝敗等を考慮しないといけません。
  
  又、税務署側も、更正処分する時には、税務署長までの決済が必要となり、
  手続きが非常に煩雑なので、出来れば修正申告して欲しいというのが本音だと思います。
 
  税務調査の現場では、グレーな部分が多いので、
  この様な心理状況を勘案しての駆け引きも必要かもしれませんね!
 
 
 * その他
 
  尚、上記2・3共に、追徴税額が発生した場合には、
  加算税と延滞税を本税の他に別途納付しなければなりません。
 
 
 
● まとめ
 
 
 税務調査の最終局面で、調査を早く終わらせたいと思い、
安易に書類に署名したり、修正申告書を出すケースが多いんですが、
よく考えましょうね。
 
 調査を終わらせたいのは税務署側も同じですから、
安易に妥協せず、時には駆け引きをしながら税務調査を乗り切りましょう!

★あさぎり通信vol.49 固定資産税の留意点

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
 
 
 9月になりましたが、今年は本当に暑いですね~!
残暑が厳しいですね~!
暑さ寒さも彼岸までと言いますが、暑さが和らぐのを期待しています。
暑さに負けないように体調管理に気を付けて頑張りましょう。
 
 
 さて、本日のテ-マですが固定資産税のお話です。

概要

  
 初めに固定資産税の仕組み等を説明します。
 
 
  〇 毎年1月1日現在に所有している土地・家屋・償却資産に課税される
 
  〇 固定資産の価格は、総務大臣が定めた固定資産評価基準により計算される
 
  〇 固定資産の価格は、3年ごとに評価替えされる(平成30年が評価替え)
 
  〇 縦覧制度があり近隣の土地等の評価を見る事が出来る
 
  〇 住宅地や新築の建物には軽減の特例がある
 
  〇 税金の計算は 賦課課税方式 (注)
  
  (注)役所が勝手に評価し一方的に課税してくる方式。
     逆に所得税の様に自分で払う税金を計算し納税する方式を申告納税方式と言う。
 
 
 以上、簡単に概要を列挙しましたが、固定資産税は我々税理士でも見落としがちです。
 
 と言うのも、 賦課課税方式 になっているからだと思います。
  お役所が計算しているからまさか間違っていないだろうと思うのです!
 
 現実は、間違っているケースが多い様ですが、その原因は、
 
 
  〇 実地調査が不十分

    → 地方税法408条に、
      「固定資産税は毎年少なくても1回は実地調査しなければならない」とありますが、
      現実は人手不足で出来ていないようです。
      その結果、謄本や公図等の書類だけで評価する為、誤りが多くなる
 
 
  〇 専門家(プロ)が居ない

    → お役所の人間は、専門的な勉強はしていない
 
 
 以上から固定資産税の現状を含め、最終的に誤りを見つける為には自己防衛しかありません。
 では、どのような事に気を付ければいいのか見ていきましょう。
 
 

自己防衛の方法

  
  〇 縦覧制度を利用する

    → 近隣の人の評価を見て自分の土地等の評価が乖離していないか確認する
 
 
  〇 現況地目(地目ごとに評価が違う)が合っているか確認する

    → 特に誤りが起きそうなケースは、
      途中で事業形態に変更があったにも関わらず、お役所はそのままにしているケース。
 
 
  〇 建物の用途変更があった場合

    → 当初、「事務所」や「店舗」で利用していた建物を「住宅」に用途変更した場合、
      その敷地について住宅用地の軽減対象になる。
      軽減対象になれば200平米までは1/6税金が下がる。
      ところが、軽減されずにそのままになっているケ-スがある。
 
       尚、「住宅」は自分が住まない(アパ-ト経営等)場合でも対象です。
 
 
   〇 アパ-ト経営等で駐車場部分の評価が高い
 
    → 駐車場部分も住宅用地の軽減の対象となるが1/6の軽減になっていない。
      駐車場部分が登記上、別の筆になっていると
      軽減されずに別々の評価になるケ-スが多い様です。
 
      対処法としては、合筆して一体にすれば全体が住宅用地になる可能性が高い様です。
      尚、税額に誤りがあった場合には、一般的に10年分還付されるようです。
 
 

編集後記

  
 今回の話はどうでしたか?
 
 私も毎年、アパ-ト経営の方の所得税の申告を何件もお手伝いしていますが、
正直、固定資産税の金額に疑問を持つ事はほとんどありません。
 
 新たにアパ-トを建築したのに、
その敷地部分が住宅用地の軽減になっていなければ気が付くかもしれませんが、
正直自信はありません!
 
今日の内容を参考に、ご自身で確認する事をお勧めします。

★あさぎり通信vol.48 中小企業等も個人情報保護法の対象

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。
 
 今回のテーマは、
平成29年5月30日に施行された改正個人情報保護法についてです。
 

概要

 
 個人情報保護法は、
情報社会の進展により個人情報の利用が著しく拡大している等の理由により、
個人の権利を保護することを目的として、
個人情報を取り扱う事業者の守るべき義務等を定めた法律です。
 
 
 平成29年5月30日までは、
個人情報が一定の条件で5,000件までの企業はこの法律は不適用でしたが、
改正以降、個人情報の取扱いが1件からでも適用の対象となりました。
 
 これにより、中小企業者等も個人情報保護法の対象者となったのです。
 
 個人情報を取得、利用する際は、法律に基づき適切に行わなければなりません。
個人情報取扱事業者は、個人情報保護委員会の立入検査もあります。
 

詳細な内容について

 
■個人情報とは

 個人情報とは個人を特定できる情報を指し、
氏名、生年月日、住所等の他に、マイナンバー、運転免許証番号などが対象になります。
 
 携帯電話の番号、SNSのIDなどは民間番号であり、単体としては個人情報の対象外になります。
ただし、他の情報と照合して個人を特定できる情報は、個人情報の対象になる可能性があります。
 
 個人情報を削除した不動産売買情報、購入履歴などは、
一定の要件に該当すれば、個人情報保護法の対象外となり第三者へ情報を売買することが可能です。
 
 
■一定の条件内であれば第三者に情報提供が可能
  
 一定の条件の範囲内(本人がその事を知っている事が前提など)であれば、
第三者に情報提供することが可能です。
 この場合においては、
提供した日、提供者等の情報を記録しなければいけないことが法律で決められています。
 
 
■違反した場合

 違反した内容より、刑事罰があります。
 
 重い罰則ではないですが、信用低下など間接的な損害が大きいと思います。
民事賠償を訴えられる可能性があります。
 
 
■個人情報の取得
 
 個人情報を取得する際は、
個人情報の利用目的をできるだけ特定・通知し、取得しなければいけません。
 利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱うことは、原則として禁止されます。
 
<例> 名刺交換の情報
 
 異業種交流会等において取得した名刺の情報は、個人情報保護法にあたるのか???
 
 名刺交換というものは、個人情報を相互に交換し、事業目的に利用されることが通常予測されます。
 
 例えば名刺交換をした場合に相手から商品の案内等が来ることはおかしいことではありません。
 名刺交換をした時点で、利用目的が予測されるので、
商品等の案内をしたとしても個人情報保護法において違法にならないと思います。
 
 ただし、この名刺情報を第三者に提供したり、
本業以外の事(宗教の勧誘など)で相手先に情報を送ったりすると、個人情報保護法の違反になります。
 

編集後記

 
 個人情報保護法について、なるべく分かりやすく書きました。
普段、馴染みがないのでわかりにくかったかもしれません。
 
 今回一番お伝えしたかったのは、
法律の改正により事業者の方は全て適用の対象になるという事です。
 
 事業活動を行っていると、様々なケースがあります。
個人情報保護法の違反で訴えられるなどの事業リスクを避ける為、
詳しく知りたい方は、個人情報保護委員会や弁護士の方にご相談しましょう。

★あさぎり通信vol.47 新事業承継税制のデメリット

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。
 
 お盆休みは、いかがお過ごしでしたか???
暑い日が続きましたね。墓参りが大変でした。
 
 長いお盆休みも終わり、年末に向けて再スタートです。
あっというまに年末になるんでしょうね・・・
 
 
 さて、本日のテーマは、新事業承継税制のデメリットについてです。
 

制度の概要

 
 
 平成30年の税制改正により、事業承継税制が大幅に緩和され、利用しやすくなりました。
 
 この為、金融機関・保険会社・商工会などから
事業承継税制のセミナーなどを案内されることが多くなっています。
 
 私もいくつかのセミナーに参加させてもらいましたが、
制度の概要的な話やメリットばかり強調され、
まるで魔法の様な税制になったというような話が多く、デメリットの話等がなかったので、
今回のテーマにした次第です。
 
 
 改正の内容は、
今後5年以内に承継計画を提出し、10年以内に承継者に株式の贈与・相続させた場合には、
相続税・贈与税が100%猶予される、という制度です。
 
 税金が猶予されるというのは、払わなくて良いということではなく、
要件が該当している間は税金を支払うのを一旦ストップするということです。
 

事業承継税制のデメリット

 
 
 
1.税務署へ「継続届出書」を3年に1回提出
 
  
 大変なのが、
贈与税・相続税の納税猶予を受けている期間はずっと、
3年に1回継続届出書を提出しなければならないということです。
 
 提出を忘れると、本税に加えて納税猶予をされていた期間の利息を
税務署に支払わなければいけません。
 
 納税猶予期間が長期の場合には、利息が本税を上回る可能性があります。
 
 
 現状では、税務署からの案内がない為、
納税者又は税理士がこの届出書の管理をしなければなりません。
 事業承継税制の場合、納税猶予期間が長期間にわたることが想定されます。
その期間ずっと、3年ごとに忘れずにこの届出書を提出しないといけないのは非常に大変なことです。
 さらに税理士が指導して事業承継税制を行っている場合においては、
この届出書の提出を忘れると、税理士の賠償責任になります。
 
 このため、税理士報酬がこの管理代を含めて高額になることが想定されます。
税理士報酬を考慮すると損になるかもしれません。
 
 また、顧問税理士が高齢な場合や、一人で税理士事務所をされている場合などは、
将来、税理士事務所変更される場合があります。
 この場合、3年後ごとの届出書の管理をどうするのかという問題が残ります!!!
 
 
 
2.贈与の実行の年の翌年1月15日までに認定申請書の提出
 
 
 事業承継税制により、贈与を実行したとしても、
翌年1月15日までに認定申請書を提出しなければ納税猶予を受ける事ができません。
 
 税務上の確定申告、贈与税の申告は、翌年3月15日です。
が、この申請は、なんと1月15日までです。
 
 
 
3.事業承継税制で取得した相続人の株式の相続税対策がしにくくなる
 
 
 納税猶予期間中、事業承継税制の要件に該当しない株式の移転などは、
納税猶予の取り消しになります。
 
 事業承継税税制により先代から株式を取得した2代目が高齢になり、
2代目の生存中に3代目に株式移転を行う場合には、移転が事実上出来なくなります。
3代目に株式を移転する場合には、納税猶予された税額と利息の支払いが発生します。
 
 また、今回の改正の要件は期限付きなので、
2代目の生存中に行う株式移転対策の時には、従来の事業承継税制が適用されます。
8割の雇用継続要件などがあり要件が厳しいです。
 
 
 
4.相続税の計算の際に、対象株式を相続財産に加算
 
 
 事業承継税制により贈与した株式については、贈与した人の相続税の計算の際、
一旦加算して相続税を算出してから再度、納税猶予を受ける事になります。
 この為、他の相続人がどのくらい贈与したのかわかることになります。
 
 
 
5.遺留分対策
 
 
 事業承継税は争族対策、遺留分対策にはなっていません。
  
 事業承継対策を行うには、
民法特例、種類株式などの遺留分対策を含めた対策が必要です。
 
 
 
6.税制改正
 
 
 将来、どのような税制改正が行われるかわかりません。
ひょっとしたら、今より良い税制改正が行われたり、株式の評価の方法が変わるかもしれません。
 

編集後記

  
 
 今回の話はどうでしたか?
 
 今年の改正により事業承継税制が利用しやすくなっているイメージがありますが、
デメリットもたくさんあります。
 
 事業承継対策を行う場合には、目先の対策だけでなく、長期にわたる対策が必要です。
 
 新事業承継税制は、相続税対策として利用しやすくなったのは事実ですが、
メリット・デメリットを総合的に勘案して決定する必要があります。
 
 相続税対策には他の方法もありますので、選択肢の1つとして考えるのが良いかと思います。

★あさぎり通信vol.46 最高裁判決 養子縁組の相続対策は有効

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の藤田です。
 
 今回は、前回に続き相続関連のお話です。
 
 節税目的のためだけの養子縁組が有効か無効か争われた訴訟について、
平成29年1月31日の最高裁の判断をご紹介します。
 
 最高裁の判断では、「節税目的の養子縁組でも直ちに無効とはいえない」という見解でした。
  

訴訟の内容

  
  ○ 被相続人(祖父)が亡くなる1年前に当時1歳の孫(長男の子)と養子縁組。
 
  ○ 被相続人の死亡後、長女と次女が養子縁組の無効を提訴。
 
       第一審は、有効
          ↓
       第二審は、無効
          ↓
       最高裁は、有効
 
 今回の訴訟での最大のポイントは、「養子縁組が当事者の意思があったかどうか」だったようです。
 
 最高裁は、養子縁組の動機が節税目的のためだけでも、
当事者の意思があれば問題ないとの結論を出しました。
  
 これはかなり衝撃的でした!!!
 
 最高裁のお墨付きを得たので、
これ以降、相続税対策・遺産相続対策で養子縁組を活用される方が増えるかと思います。
 
 以下でそれぞれの効果を説明します。
  

養子縁組の対策効果

  
<相続税対策>
 
  養子縁組により、相続人が1人増えると
 
    ■ 基礎控除額が600万円増える
 
    ■ 生命保険金の非課税金額が500万増える
 
    ■ 退職金の非課税金額が500万円増える
  
    ■ 相続税の税率が下がる
 
 
 このように、節税効果は大きい為
民法上養子縁組は何人でもできますが、
税務上では養子として認められる人数には制限があります。

    実子がいる場合     1人

    実子がいない場合   2人
  
 ○ 具体例

   前提条件 : 相続財産 3億円(うち生命保険金1,500万円)
 
          相続人 2人(実子)
  
     養子縁組前(相続人2人)   相続税総額    6,520万円
 
     養子縁組後(相続人3人)   相続税総額    5,159万円
 
       相続税の節税効果 1,361万円
 
 このようになります。
養子縁組をするだけで、相続税が1,361万円も安くなります。
 
 
<争族対策>
 
 養子縁組を行うことにより、相続分が下がります。

下記の具体例でも、養子を増やすと一人あたりの相続分が下がっています。
 
 ○ 具体例 (相続財産3億円の場合)
 
   相続分

     養子縁組前  相続人2人(子のみ)      1.5億円/一人 (1/2づつ)

     養子縁組後  相続人3人(子2人 養子1人)  1億円/一人 (1/3づつ)
 
 被相続人の死亡後、遺産相続の際の一人当たりの相続分が下がります。
 
   (注)遺産分割は、原則相続人同士での話合いで分割内容を決めます。
      裁判で争いになった場合には、相続分で分割されることが多いです。
 

編集後記

 
 弊所でも、相続税対策として養子縁組を提案することはよくありますが
お客様によっては養子縁組に抵抗がある方もいらっしゃいます。
したがって、無理に養子縁組をする必要はないと思います。
 
 養子縁組を行う場合には、養子縁組による効果を具体的な数値で確認し、
検討することをお薦めします。
 
 養子縁組の手続きや民法上の取扱いについては
今後も掲載していきますので、どうぞお楽しみに!

★あさぎり通信vol.45 相続関連の民法改正

 おはようございます。
 あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

 地獄の様な暑い日が続きますが、
今年の天気は、先月の大豪雨や台風の発生、そして猛暑続きと異常ですね!!
年々酷くなっているような気がしますが、やはり地球温暖化の影響なのでしょうか?
まあとにかく、体調管理には十分気を付け、この暑さを乗り切りましょう。

 さて、もうすぐお盆ですね。
お盆になると実家に家族が集まり色々な話をすると思います。
普段あまり話をすることがない相続などの話題も出るかもしれませんね。
 逆に、相続の話題が出なければ、本日のテ-マでも参考にして頂き、
是非、皆さんで相続のお話をして頂きたいと思います。
 「相続」が「争続」になる大きな原因は、コミュニケ-ション不足が大きいと思います。
相続が発生して慌てるのではなく、普段からのお話がとても大事なのです!

さあ、本日のテ-マですが、
最近続々と民法改正(H30.7.8法案可決)された相続関連の内容についてまとめてみました。
 

配偶者を優遇する改正

 
〇 配偶者の居住の保護(H32年7月までに施行予定)

  配偶者が相続開始時に居住している被相続人(亡くなった人)所有の建物に住み続けることが出来る居住権の創設
   尚、居住権の評価額は、現行の評価(所有権)に比べてかなり低くなる様です。
   具体的には、平均余命等を勘案して評価されるようです。
 
 
〇 配婚姻期間20年以上の夫婦の特例(H32年7月までに施行予定)

  婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、配偶者が居住用の不動産を生前贈与したときは、
 その不動産を原則、遺産分割の計算対象外(特別受益としない)となる。
   今までは、例えば、「自宅と僅かな預貯金」をお持ちの方が亡くなられた時に、
   遺産分割を巡って揉めるケ-スが多くありました。
   今後は、配偶者は住む所を確保し、更に、預貯金などの他の遺産の取り分を増やす事が出来ます。
   又、配偶者は「居住権」を登記する事により、所有権を取得した相続人が勝手に売買する事を防げます!
 
 

その他の改正

 
〇 特別寄与料制度(H31年7月までに施行予定)

  相続人以外の者が、無償で介護や看病に貢献し、
 被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした者(特別寄与者)は、
 相続人に対して寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求することが出来る。
  息子の妻が義父母をの介護をしたようなケ-スが想定されます。
  苦労が報われますね!!
 
 
〇 遺産分割前の預金の一部引出(H31年7月までに施行予定)

  遺産分割協議の成立前でも被相続人の預貯金の1/3の内、法定相続分までは預金の引き出しが出来る。
   葬儀代や生活費に充当出来ますね。
   ただ、銀行が、あっさりウンと言うのでしょうかね!!
 
 
〇 自筆遺言書についての改正(H32年7月までに施行予定)

  (1)自筆遺言書を法務局で保管してもらう事が出来るようになる。
  (2)(1)の法務局で保管しもらえば「検認」が不要になる。
  (3)自筆遺言書の内、財産目録についてはパソコンの作成が可能となる。
 
 
〇 遺留分請求について(H31年7月までに施行予定)

  贈与でもらった財産の内、遺留分の計算上含める金額は下記の通りとなる。
   相続人に対する贈与は、相続開始前10年間
   相続人以外に対する贈与は、相続開始前1年間
  また、遺留分侵害額の請求は、当初から「金銭」で出来るようになる。
 

編集後記

 
 相続に関する民法改正が本当に沢山出来ましたね!
何十年も前にも出来た法律なので、時代に即した当たり前の改正なのかもしれません。

 ただ、個人的に情けないと思うのが、配偶者に関する改正です。
 
 この改正の背景にあるのは、親子の相続分を巡る争いの増加なんだと思います。
子供が親の財産を当てにし、老いた母親を訴え骨肉の争いになり、
住む所も奪われた母親が路頭に迷うケ-スを防止する為なんでしょう!
 何とも情けない限りです!
勿論、色々なご家庭の事情があるとは思いますが、育ててくれた親を訴えますかね!
日本人の倫理観は何処に行ったんでしょうか!?
法律の勉強の前に、道徳の勉強をして欲しいものです!

 最後に、冒頭でも書きましたが、相続は普段からのコミュニケ-ションが大切です。
普段忙しい方々も、せめてお盆の時期だけでもゆっくりお話をして、
やがて来る相続が円満になる事を心から願うばかりです。