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★あさぎり通信vol.41 節税商品

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

 今年も、あっという間に半年が過ぎましたね!

 年をとると時が経つのが何でこんなに早いんでしょうかね!

 小さい頃は、1日が長く、夏休みなんていつまで続くんだろう~と思っていたのに、
今は、1日、1週間、1ヶ月、1年がとにかく早い!早過ぎる!

 これは、誰もが感じる事ではないかと思うんですが、調べてみると、
「ジャネーの法則」といって心理学的に証明されているみたいなので勘違いではないようです。

 「ジャネーの法則」によると、「主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象」を心理学的に説明したそうです。

 生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例(年齢に反比例)する

 何だか、分かりにくいですが、具体的には、

 50歳の人にとっての10年間は、5歳の人にとっての1年間に当たる

 5歳の人の1日が50歳の人の10日に当たることになるようです。

 つまり5歳と50歳では時間の感覚が10倍違うようです!!

 小さい頃は、日々接する事、感じる事が毎回毎回新鮮な一方、
年をとると、今まで経験している事の繰返しになる為、脳に刺激を受ける事が少ない。

 その結果、脳を素通りして行き、時間の感覚も短くなるんでしょうね!!
日々、新鮮な事に取り組み挑戦しなければいけませんね!

というのが時間を早く感じない為のコツでしょうかね。

 さてさて、前置きが大変長くなり失礼しました。
最近、他の税理士事務所から変わってくるお客様が多いのですが、その理由を尋ねると、

○ 節税・経営のアドバイスがない
○ 担当者任せで、その担当者も対応が悪い

の理由が多いです。

 自分は大丈夫だろうかと、自問自答しながら仕事を頑張っていますが、
その中で、そんな事も前の税理士は提案していないのか、という事があります。

 節税の話ですが、それは、国(正確には中小機構)が推奨、認めている節税商品で、

 ○ 小規模企業共済
 ○ 経営セフティー共済(中小企業倒産防止共済)

です。

 節税を考えるなら、まずは、この2つは基本中の基本でしょう。

小規模企業共済

(概要)
 ○ 個人事業主の事業廃止や会社の役員等を退職した時の退職金の積立制度
 ○ 支払った金額の全額が所得控除として、所得税・住民税の節税
 ○ 掛金は、月額1千円~7万円年間最高84万円

(対象者)
 ○ 個人事業主
 (注)アパート経営等の不動産所得の人は、事業的規模(5棟10室)に限る
 ○ 一定規模以下の中小企業等の役員等
 (注)医療法人(個人開業医は可能)・社団法人等の役員や本業がサラリーマンの人は加入できない

(解約)
 この制度が素晴らしいのは、解約時の税金も安い所です。
解約時の税務上取扱いは、

 ○ 事業廃止・役員退任・・・・退職所得
 ○ 任意解約・・・・・・・・・一時所得
 ○ 死亡時・・・・・・・・・・相続財産(退職金の非課税規定あり)

詳しい説明は割愛しますが、いずれも優遇税制です。

経営セフティー共済(中小企業倒産防止共済)

(概要)
 ○ 取引先の倒産時に、掛金の10倍まで迅速に借入が出来る
 (注)ただし、借入金の1/10の積立金は消滅する
 ○ 支払った金額の全額が必要経費・損金として、所得税・住民税・法人税の節税
 ○ 掛金は、月額5円~20万円年間最高240万円
 (注)ただし、掛金の累計総額は800万円
 ○ 加入から40ヶ月以上で100%掛金が戻る

(対象者)
 ○ 個人事業主(事業所得者に限る為、不動産所得の人は不可)
 ○ 一定規模以下の中小企業者等
 (注)医療法人・社団法人等は加入できない

(解約)
 解約時には、解約金が、収入(利益)となる。
 俗に言う、利益の繰り延べなので、解約時には、それに見合う費用(損失)と相殺させる事が肝要です。

編集後記

 今回の話はどうでしたか?

 日々のモノトーンな単調な日々を打破しましょう!

 また、小規模企業共済と経営セフティー共済については、以前にも解説した事があるのですが、
意外にも多くの方や企業は加入されていないので、再度掲載させてもらいました。

手続きは、各金融機関でも取り扱っているので、未加入の場合には、是非検討してみてはいかがですか??

★あさぎり通信vol.40 マイレージサービス等のポイントについて

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

雨が比較的少なく、暑い日が続きますね。

 家庭菜園できゅうり、トマト、ピーマンなどを作っています。
昨年は地植えで失敗したので、今年はプランターでの栽培にチャレンジしています。
葉っぱは大きくなるのですが実が、なかなか大きくなりません。収穫できる数も少ないです。
早くも今年も失敗したような気がします。栽培するのは意外と難しいですね。
水代や肥料代を考えると買った方がいいかもしれません。

 今回のテーマは、ポイントサービスにおける税務に関してです。

概要

 ポイント制度は、多くの方が利用されて、皆様方も何らかのポイントを持たれているのではないでしょうか。最近では、ポイントの流通性、交換性が高まり疑似通貨化が進んでいます。

 ポイントの税務上の取扱いは、はっきりとしていないのが現状ではないかと思います。この為、下記の具体例において、少しあいまいな書き方になっているかもしれませんが解決します。

具体例

<会社がポイントを貯めた場合>

 会社がポイントを貯める為に公共料金や税金の支払いをクレジット支払にすることはよくあると思います。

 ◎経理処理について

  ポイントが貯まった時点では、経理処理は不要です。

 ◎ポイントを利用した場合

  ポイントを一部利用して商品の購入等をした場合には、値引処理となります。
  (本来の支払額-ポイント額)

 次に、ポイントを利用して無料で商品等を取得した場合には、経費と収入が両建てになると思います。
仕訳では、経費/雑収入となります。

 経理処理において、支払代金のうちポイントの割合がどのくらいだと値引処理をするのか、
両建て処理をするのか、難しい判断が必要になります。

 少し難しい話ですが、法人税では、利益が変わらないので問題となりませんが、消費税の簡易制度を利用している時等で問題となります。ポイントを相殺するか、両建てにするかによって売上高が変わってくるためです。

<会社経費の支払いを個人カードで立替えて支払いポイントを貯めた場合>

 社長が出張する際、航空券などの支払い時に、マイレージが付くので個人のクレジットカードで支払うことはよくあると思います。
 この場合、現物給与として給与課税されるかもしれません。課税される場合は、下記のような問題点があります。

 ・ポイントが付いた時点で課税をするのか、ポイントを利用した時点で課税するのか。
 ・ポイントが付いた時点で課税であれば、期限が過ぎたらどうすのか。
 ・ポイント利用時に給与課税をすのであれば、会社は、個人の利用実態をどのようにして把握するのか
 ・ポイントの金額をどう算定するのか。ポイント何円と決まっている場合、この金額で算定するのか、
  受け取った商品の時価で算定するか

<個人事業主がポイントを貯めた場合>

 個人事業主の方が、事業経費の支払いでポイントを貯め、商品の取得やサービスを受けた場合には、課税処理はどうするのか。

 事業外の商品の取得等は、購入時に一時所得になる可能性が高いです。この場合、一時所得の金額が問題になるわけですが、商品の場合、お店によって価格が異なります。一時所得の金額がいくらなのか難しい判断が必要です。

 事業用の商品の取得等は、事業所得の収入になる可能性が高いです。ポイントを一部利用して商品の購入等の場合には、値引処理をするようになるのではないかと思います。

 上記の「法人がポイントを貯めた場合」でも記載したように、値引処理にするのか 両建てにするのか難しい判断が必要になります。

編集後記

 今回の話はどうでしたか?ポイント制度における税務処理の解釈について記載しました。
実務上、ポイントについて、正しく処理されている方が少ないのが現状ではないかと思います。
周りの様子を見ながら、処理を合わせていけばいいのではないかと思います。

 最近では、「ビットコイン」の税務相談を受けることがあります。
上記に書いた「ポイント制度」同様に税務処理が難しいです。

★あさぎり通信vol.39 安易に修正申告に応じるな!!

 おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

 先日、広島の風物詩である「とうかさん」がありましたね。

 これが終わると、梅雨、そして、暑い季節、夏の到来ですね!

 気象庁の発表によると、今年の夏は平年より暑い、猛暑の予想が出ていますので体調管理には十分気を付けましょう!

 さて、本日のテーマですが、前回からの続きで、税務調査関連の内容です。

 税務署の事務年度(締め)が6月なので、必然的に税務調査が完結する月です。

 税務調査の終結時に、否認指摘事項が発生した場合でも、安易に「修正申告」に応じず、必ず処分の内容を確認してから修正申告書を提出しましょう!

という内容です。

 では、その詳細を説明していきます。

税務調査の終了手続

 以前のメルマガでも書きましたが、税務調査が終了するパタ-ン は以下の3通りです。

 これは、国税通則法により明確に規定されています。

 ○ 申告是認

  何も問題がないパタ-ン

 ○ 修正申告書の提出

  問題・指摘事項について、納税者が自ら申告書を提出する

 ○ 更正処分

  問題・指摘事項について、納得出来ない為、修正申告書を提出しない

  →税務署長が、一方的に税額を決定する

以上、税務調査終了時のパタ-ン です。

 申告是認になればいいのですが、悲しいかな、何か出てくるのが税務調査なんですよね!!

安易な修正申告に応じるな

 申告是認にならなければ、自ら修正申告するか、拒否して更正処分されるのを待つかしかありません。

ここで、修正申告書を提出した場合には、処分(ペナルティ-)の内容が

 1.過少申告加算税

 2. 重加算税

のいずれかになります。

 どちらになるのか必ず確認し、修正申告書を提出してください。

というのも、「重加算税」になると大問題が4つあるからです

 1. ペナルティ(加算税) が追徴税額(増加税額)の 35~50%

 2. 延滞税の控除期間がない

  修正する年度(事項)まで遡って、その全ての期間に延滞税がかかります。
  尚、過少申告加算税の場合には、最長でも1年分で済みます。

 ちなみに、延滞税の割合は以下の様になっています。

 ・ 納付期限から2ヶ月以内は2.7%、それ以降の期間は9.0%(H29年)

 3. 事業税(地方税)の追徴税額にも重加算金がかかる

  法人税の処分が過少申告加算税の場合には、過少申告加算金はかからない

 4. 次回以降の税務調査の確率が大幅アップ

  税務署内では,法人を第 1グル-プ~第3グル-プに分類している

  →重加算税の実績がある法人は第3グル-プ(悪質法人)に分類される

  →悪質な法人なので、その後、税務調査地獄

 以上が、修正申告を提出する場合に処分内容を確認しなければいけない理由です!

次に、処分内容が過少申告加算税と重加算税の場合の加算税・延滞税の金額の違いです。

(具体例)

 例えば、税務調査で 500万円の指摘事項(3年前)を受けた場合

  法人税の本税125万円(税率25%)

  法人事業税の本税50万円(税率10%)

  法人住民税の本税20万円(税率4%)

 本税は以上の通りで、ペナルティー(加算税・延滞税)は、それぞれ以下の通りです。

1.処分が過少申告加算税の場合の加算税・延滞税の金額

 法人税の加算税125万円X10%=12.5万円

 法人税の延滞税125万円X2.7%x1年=3.3万円

 法人税事業税の加算税0円

 法人事業税+法人市民税の延滞金(50万円+20万円)x2.7%x1年=1.9万円

 合計17.7万円

2.処分が重加算税の場合の加算税・延滞税の金額

 法人税の加算税125万円X35%=43.8万円

 法人税の延滞税125万円X2.7%x3年=10.1万円

 法人税事業税の加算税50万円x35%=17.5万円

 法人事業税+法人市民税の延滞金(50万円+20万円)x2.7%x3年=5.7万円

 合計77.1万円   その差、何と59.4万円!!

 当然、これに本税の195万円を併せて納付しなければなりません。

 尚、税務署は、重加算税にしたがる傾向にあります。
重加算税に該当するか否かは、国税庁のHPの事務運営指針に掲載されています。

 重加算税の指摘を受けた場合には、最低でも、この事務運営指針の何処に該当するのか、税務署に確認しましょう。

編集後記

 税務調査の早期終結の為や面倒だという理由で修正申告に応じる事があるかもしれません。

 そもそも論として、修正事項に該当するかの検討は大前提ですが、次に、修正申告に応じる場合に処分の内容を確認しなければ後で大変になる事が理解出来たでしょうか?!

 繰り返しになりますが、重加算税になると色々大変です!

 重加算税と言われた時には、安易に修正申告せず、その理由を絶対、絶対、絶対、確認し、重加算税の事由に該当する場合だけ修正するようにしましょう。

★あさぎり通信vol.38 税務調査が省略される!?

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

さて、度々お話している税務調査ですが、GW明けから、件数が増えてきます。

これは、税務署の事務年度が7/1~6/30になっており、年度末に向けてのラストスパートだからです。

それに合わせて、本日の内容も、税務調査関連です。

概要

税務調査は嫌ですよね!

何とか回避できればいいのにと思った事はありませんか?

書面添付制度を利用すれば、税務調査が省略される可能性があります。

書面添付制度・・・・・とは?

書面添付制度とは、税理士が申告書の作成に関して計算、整理、相談に応じた事項を記載した書面を申告書に添付して提出する事が出来る制度です。

この制度を利用すると税務署は原則、税務調査を行う前に、税理士に意見聴取(話合)をしなければいけないのです。

税務署側は、いきなり税務調査を開始できないのです。

(提出する場合のメリット)

○ 税理士との意見聴取の段階で疑問点が解消され税務調査が省略される場合がある

○ 税理士との意見聴取の結果、何か問題事項が発覚し修正申告をした場合

→ あくまでも税務調査に着手する前の自主的な修正申告となるので加算税が不要

延滞税はかかりますが加算税(本税の10%~40%)が要らないのは有難い・大きい

 (提出する場合のデメリット)

 ○ 作成するのが手間なので嫌がる税理士もいる

税務署側の考え方

書面添付制度については何となくご理解頂けましたか?
では、書面添付制度が提出された場合に税務署側はどう思うのでしょうか?

○ いきなり税務調査に着手出来ないので手続きが面倒

→ 結果、税務調査に入る優先順位が下がるとも言われています

○ 税務署の税務調査に対するスタンスは、「実地調査率の向上」です。

「実地調査率の向上」とは、 調査による増差税額の多寡ではなく、
調査の件数を増やすことが命題のようです。

調査官1人につき調査件数のノルマがあるのです。
とにかく、調査件数をこなせ、増やせなのです。

ここで、書面添付制度が税務調査官にも役立つのです!!

→ 書面添付が出ている場合に、税理士に意見聴取をする

→意見聴取により税務調査をしなくても、何と調査件数1件にカウント

件数を稼ぎたい時、ノルマを達成したい時には調査官にとっても持って来いなのです!!

編集後記

書面添付制度って何だか、いいこと尽くめだと思いませんか?
納税者にも有難いし、税務署側も場合によっては有難い制度なのです。

弊所では、原則、法人税と相続税の申告書には書面添付制度を行っています。

今までの実績としては、

法人税に関しては、正直、税務調査が省略になったケ-スは数える程度です。
相続税に関しては、税務調査まで移行したケースはほとんどありません。

法人税に関しては、売上に始まって経費等、取引の量が多いため、なかなか書面添付だけでは対応出来ないのだと思います。
とは言え、税務調査のリスクが軽減され、何より、税理士との意見聴取の段階で問題が発生し、修正申告の処理をした場合には、加算税がかからないのが一番美味しい!!

使わない手はないですよ!

利用されてない方は、直ぐに、税理士に相談し利用しましょう。

★あさぎり通信vol.37 この時期気を付けたい給料と社会保険料

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

花がきれいに咲く時期です。

藤田家では中央公園で行われているグリーンフェスタでアジサイを購入し、庭においています。アジサイは、花が大きく、色が鮮やかで見ごたえがあります。地植えをし、毎年花の観賞が楽しめるように育てる予定です。

また、家庭菜園でイチゴ作りに挑戦しています。暖かくなり、やっと実がなり始めましたがうまく育ちません。意外と難しいですね。

さて、今回のテーマは、4月、5月、6月の給料が一時的に増額になると毎月給料から天引きされる社会保険料が増額してしまう、という話です。

説明と対策

<社会保険の仕組みの説明>

社会保険料は、会社が社員の給料から社会保険料を天引きし年金事務所に納める仕組みです。

社会保険料の負担割合は、会社と社員で折半となります。

この社会保険料の計算は、会社がその年の4月、5月、6月の給料を平均して届出書を年金事務所に提出し、年金事務所が、この届出書に基づきその年の9月から翌8月までの保険料を決定します。この保険料は、「健康保険 厚生年金保険の保険料額表」に基づき算出されます。この保険料額表は、等級別に保険料が定められています。会社から届出された平均給料をこの表に当てはめて保険料が計算されます。

下記のような原因等で一時的に給料が高い月がある場合には、4月、5月、6月の平均給与が高くなり、社会保険料が高くなります。

・残業手当で給料が一時的に増額した。

・能力給などの手当で給料が一時的に増額した。

変更届出について

尚上記の対象月以外でも、保険料額表に当てはめて3か月の平均給料の等級が上記で定めた平均給料の等級と比べて2等級以上の差が生じた場合には社会保険料を変更することになっています。

つまり、給料が増額、減額したとしてもすぐには社会保険料は変更出来ない仕組みになっているのです。

<対策>

・4月、5月、6月に業務が集中しないようにする。

・一時的な能力給などの手当は、支給月を変更するか又は賞与で支給する。

編集後記

社会保険料のことは、経営者、従業員の方も含めて気にしている方が多いのではないかと思います。

今回の様なケースに該当する場合には、支給方法などを検討されてみてはいかがですか。

今後のメルマガで、会社の役員の方で年金の支給カットを受けない方法についても記載しようと思います。楽しみにしていてください。

★あさぎり通信vol.36 民事信託について

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

早速ですが本題に入ります。
今回のテーマは、民事信託についてです。

概要

民事信託、一般的に家族信託と言われることもあります。

民事信託とは、財産を持っている人(委託者)が財産を管理、運用、処分する人(受託者)を定めて、財産の管理、運用、処分をお願いする制度のことです。この財産の管理、運用、処分から生じた利益を受ける人を受益者といいます。尚、受益者は、委託者がなる場合や、委託者以外の人がなる場合があります。

又、民事信託は、家族間で行うことが出来るのが特徴です。

たとえば、アパート経営の場合、オーナーが民事信託の契約によってオーナー自身が委託者、受益者となり、息子を受託者とさせアパートの管理、運用、処分をさせることができます。オーナーの判断能力の低下等の不測の事態に備えて息子にアパート経営を任せるという事です。

本日は、民事信託が活用できる具体的な事例を紹介します。尚、制度の内容については、説明が長くなり、複雑なので後日記載します。

※今すぐに知りたい方は、弊所までお問い合わせください。

民事信託の活用例

1. 本人の判断能力が悪くなった場合(認知症など)に有効な活用例

■ アパートローン、住宅ローンがある場合

10年固定のアパート、住宅ローンがあり、10年後の判断能力の低下に備える場合

→10年固定の優遇金利で融資を受けている場合、10年後には金利が高くなる可能性があります。その際、再度借り換えなどで再契約して金利を下げたりしますが、判断能力が低下している場合、民事信託していないと、本人では契約ができないので高い金利になってしまいます。

■ アパートを建築したり、マンションを購入する場合

相続税の節税対策を行う場合、判断能力が低下した場合にはアパートの建築やマンションの購入ができません。

民事信託を利用すれば、本人の判断能力が低下した場合でも、アパートの建築やマンションの購入ができます。当然、融資を受けることもできます。

■ アパートを所有している場合

判断能力が低下した場合は、賃貸借契約ができなくなります。民事信託を利用すれば問題解決です。新規に入居者と賃貸借契約したり、大規模修繕を行うことが可能です。

2. 相続税対策で財産は贈与したいが、その財産の管理、支配は自分が行いたい場合

■ 同族会社の自社株式の議決権対策

相続税対策の為、子供に株式を贈与したいが、会社の議決権は持っておきたい場合に、民事信託を利用すれば、株式を贈与したとしても、株式の管理、運用、処分は、自分が行うことが可能です。

3. 遺言書ではできない相続対策

■ 将来、長男の妻側の家に財産を渡したくない場合

長男夫婦に財産を相続させたいが、長男夫婦には子供がいない為、長男の妻が死亡した場合には、長男の弟に財産を引き継いでもらいたい場合。

■ 相続税対策で孫に財産を相続させ、管理等は息子にさせたい場合

相続税対策の為、1代飛ばしで孫に財産を相続させたいが、孫の年齢が若い為、財産を相続させるのは心配なので、管理は息子にさせておきたい場合

今回、紹介した例は代表的なものですが、この他にも様々な方法が考えられます。

ただし、民事信託は、税務の問題、登記の問題、遺留分の問題など様々な法律が関係し、制度設計は慎重に考えなければなりません。

あさぎりグループでは、税理士、弁護士、司法書士などの専門家で構成されており、民事信託について、あらゆる角度から精査しワンストップで対応が可能です。

編集後記

この民事信託については、初めて聞かれる方が多いかもしれません。
先日から広島の銀行で、民事信託のマネジメントサービスが開始されています。
様々なケースで活用ができる為、今後広がっていくと思います。

★あさぎり通信vol.35 養子縁組について その2

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

さて、本日のテーマですが、前回(vol.34)掲載した「養子縁組」の話の続きです。

前回の掲載は制度の概要説明程度に終わってしまいましたが、今回は事例等も交え実践的な内容となっています。前回の内容を復習して読んでいただくと良いと思います。

養子縁組によるメリット・デメリット

(養子縁組によるメリット)

相続税の節税

基礎控除額が増える

相続税の総額が減る(累進税率の緩和)

生命保険・退職金の非課税枠が増える

(注)ただし、相続税の計算上、実子が居る場合には養子の数は1人しか認められない

不動産取得税が非課税

特定遺贈(相続人以外の人に遺言書で遺産を渡す事)による移転だと課税されるものが、孫等が養子縁組後に、相続人として相続すると非課税となります。

登録免許税の軽減

特定遺贈による財産の移転よりも、孫等が養子縁組後に、相続人として相続すると登録免許税が軽減されます。

特定遺贈の場合の税率20/1000

相続の場合の税率4/1000

その差5倍です!!

遺留分対策

これは、遺留分減殺請求を受ける側の防衛の話です。

遺留分の減殺請求、つまり相手方に遺留分相当額の渡す財産金額は、亡くなった人の全財産(過去の贈与した財産も含む)の法定相続分の1/2となります。

養子縁組で相続人の頭数を増やしておけば、相手方に渡す金額は減る為、遺留分対策となるわけです。

(養子縁組によるデメリット)

遺産分割がまとまらない可能性がある

税金の節税・遺留分対策といっても、相続人が増える為、遺産分割がまとまらなければ本末転倒

孫養子の場合には相続税が2割増

孫養子が相続により財産を取得した場合には、その財産を取得した孫の支払う相続税額は2割加算つまり1.2倍となります。

ただし短期的には、確実に損ですが、一代飛ばしての相続になるので長期的にみれば有利になる場合もあります。

離婚しても子供!

孫養子に相続させると相続税が高くなるという理由で、長男の嫁を養子にするケ-スも多くあります。

長男と嫁は離婚すると他人ですが、養親との間では親子関係のままです。

という事は、当然、離婚した嫁にも相続権がありますよね!!

実務上の留意点

意思能力にはご注意を

被相続人が認知症等で意思能力が無い場合にはOUTです!

手軽な故に、いつでも出来ると思い、なかなか手続きを行わないんです!!相続直前になって慌てない様に早目に手続きしましょう!!

養親は1人だけでも可能

実際に実務であった冷や汗ものの、結果オーライだっだ話です。

ちなみに私のお客さんは、今回の登場人物上で言えば弟さんです。

話の概要は以下のとおりです。

・家族構成は夫婦と子供2人(長男・次男)

・父親の相続税対策の為に、長男の嫁と養子縁組をする

・あくまでも相続税対策なので長男の嫁は財産を相続しない

・父死亡時に、母だけが相続し、養子縁組のおかげで、頭数が増え、相続税の節税は成功

・父の死亡後、急激に兄弟仲&嫁同士の仲が悪くなる

・その後、母親が死亡

・弟は、母親の遺産について1/3しか貰えない事を覚悟、兄1/3、兄嫁1/3、自分が1/3つまり兄方2/3、弟方1/3

ところが戸籍を確認すると父親と長男の嫁だけの養子縁組でした!

という事は母親と長男の嫁は他人、つまり長男の嫁に相続権なし

天国のお父さんありがとう・・・という結末でした。

実は、昭和62年の民法改正によって概要(vol.34)にも書きましたが、成年者を養子にする時には、夫婦揃って養親にならなくてもよいと変わりました。

今回のケースは、父親がそこまで想定して、自分だけが養親になる養子縁組をしたのかは不明ですが結果的に助かりました。

また、今回のケースとは逆に、兄弟仲が良く、母親が亡くなった時にも当然に、兄の嫁が養子になっているものだと思い、相続税等を考えていたら大きく狂いますね!!

この様に民法改正前と後では、養親の取扱いが違うので、既に養子縁組をしている方は、養親が誰になっているか必ず確認しましょう。

この最後の話は本やネットで見た事がないのでぜひ参考にして下さいね!

ちなみに私は、養子縁組は必ず夫婦揃ってするものだと思い込んでいました。

思い込みはよくないですね!恐いですね!

編集後記

今回の話は実際にあった話です。

何事もそうですが思い込みは怖いですね!

今回の件もそうですが、相続対策を行う時には、各専門家と多角的に協議して進めないと思わぬ落とし穴があるかもしれません。

★あさぎり通信vol.34 養子縁組について その1

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

今年もあっと言う間に3か月が過ぎましたね!今年の目標は順調に達成出来ていますか?私は仕事の方は順調に消化出来ています。

さて、本日のテ-マですが、相続税の節税対策や遺留分対策で有効な「養子縁組」の話です。

養子縁組については、正直、私自身が曖昧に理解している所もあり、整理する意味も込めて弁護士さんの協力も得ながら、概要、注意点、実際に実務であった経験談などを解説します。

尚、全ての事を掲載すると非常に長くなるので、今回は概要だけの説明とさせて頂きます。

制度の概要

(概要)

養子縁組とは、具体的な血縁関係とは無関係に人為的に親子関係を発生させる事をいう。

(養子縁組の種類)

養子縁組には、普通養子縁組特別養子縁組があります。

(普通養子縁組)

一般的に利用される制度だと思いますが、実親との親子関係を継続したまま養親とも親子関係を結ぶことです。したがって、養子となった子供には両方の親(実親・養親)の相続権や扶養義務が残ります。

権利義務2倍になるという事です。

(特別養子縁組)

実親との法律上の親子関係を解消した上で養親と親子関係を結ぶ事です。ただし子供の年齢が6歳未満という制限があります。したがって、養子となった子供は、養親だけの相続権や扶養義務が残ります。

権利義務1倍です。

(養子縁組が認められる条件)

〇 当事者双方が、養子縁組をする意思がある事

〇 養親が20歳以上

〇 直系尊属(親や祖父など家系図で言えば上の人)は養子に出来ない

〇  自分より年上は駄目

〇 後見人が被後見人を養子にする場合は裁判所の許可が必要

〇 未成年者を養子にする場合には、夫婦揃って養親にならなければならない              (注)養親が結婚していない場合には、当然1人だけで問題ない

〇 成年者を養子にする場合には、夫婦片方だけと養子縁組をする事が出来ます。ただし、養親にならない方の同意が必要となります。

〇 身内以外(配偶者の子供や孫)の未成年者を養子にする場合には家庭裁判所の許可が必要

(手続きの方法)

〇  提出場所

・養子・養親の本籍地・住所のいずれかの市区町村役場

〇  必要書類

・届出書

・養親と養子の戸籍全部事項証明書1通ずつ(届出をする市区町村に本籍が無い時に必要)

・養親と養子の印鑑と本人確認書類

〇 注意点

・成年者2名の証人が必要

「結婚届」と同じような感じですかね~

(養子縁組解消の方法)

養親と養子の協議がそろえば養子縁組の解消は可能です。ただし、特別養子縁組の場合には、両者の協議では認められず裁判所の力が必要となります。

実の親子関係は縁が切れませんが、同じように特別養子縁組は相当に権利関係が強い制度という事でしょう。

留意点

(氏(名字)と戸籍が変わる)

養親の氏(名字)に変わり必然的に戸籍も変わります。ただし、結婚後に旦那の氏(名字)になっている奥さんが養子縁組した場合には名字も戸籍も変わりません
(養子の子供の代襲相続権について)

養親より先に養子が死亡し、その後、養親が死亡した場合には、原則、養子の子供は代襲相続により相続権があります。

ただし、養子縁組をする前に生まれた養子の子供には、養親の相続権はありません

以上、養子縁組の概要で、何処にでも書いてある、ありきたりな事をまとめてみました。

編集後記

今回は、養子縁組の概要説明だけとなり、正直パンチのない内容になってしまいました。

実際、実務で役立つ話、注意点、経験談は次回掲載しますので、今回は制度の概要をしっかり理解しておいて下さい。

★あさぎり通信vol.33 節税・社会保険料対策 確定拠出年金

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

少し前から家庭菜園をしています。まずは、キュウリとトマトとゴウヤを育てています。小さい実は沢山なるのですが、なかなか大きくならないですね。今のところスーパーで買った方が安くすみます。

さて、今回のテーマは、節税や社会保険料対策として有効な確定拠出年金です。意外と知らない方が多いのではないでしょうか。

確定拠出年金とは

確定拠出年金は、公的年金の上乗せ年金です。

■確定拠出年金には、個人型と企業型の2種類あります。

<個人型>

個人が加入し、掛金は、個人が負担

<企業型>

企業が社員の為に加入し、掛金は、企業が負担
■現在加入されている公的年金の制度により、掛金の限度が変わります。

<掛金の限度額>

国民年金の場合(自営業者) 年81万6千円(月6万8千円)

厚生年金の場合で個人型の場合 年27万6千円(月2万3千円)

厚生年金の場合で企業型の場合 年66万円(月5万5千円)

※国民年金基金、厚生年金基金、確定給付企業年金に加入している場合には、掛金の限度額が変わります。

■加入年齢は、60歳未満です。

■運用

掛金の運用は、加入者自身です。

■受取形態

年金又は一時金

死亡の場合でも一時金で受け取りができます。

メリットとデメリット

<メリット>

■掛金が全額、所得控除又は法人の経費

個人型の場合→全額所得控除  所得税、住民税が下がります。

ちなみに生命保険の場合、いくら保険料を支払っても、年間4万円しか控除ができません。

企業型の場合→全額経費

企業型の場合には、法人税や社会保険料の負担が下がります。

給料体系の見直し、就業規則等の変更が必要になります。詳しく書くと長くなるので、詳しく知りたい方は、弊所まで直接お問い合わせください。

■運用益が非課税

確定拠出年金で資産運用する場合には、運用益は非課税です。

確定拠出年金は、銀行、保険会社、証券会社で取扱いをしています。取扱いをしているところにより運用先の商品が異なる為、どこで加入するかは検討が必要です。

■受取時の税制優遇

年金で受け取る場合→公的年金の取扱いになるので、公的年金等控除が適用される。

一時金で受け取る場合→退職金の取扱いになるので、退職所得控除等が適用される。

死亡で受け取る場合→相続税の対象になりますが、退職金の非課税(500万円×相続人の数)で控除があります。

■自己破産をした場合

自己破産をしたとしても、財産を保全することができます。

確定拠出年金は、自己破産をした場合において、差し押さえ禁止の財産になっているためです。

自己破産をしても、60歳になれば財産をもらうことができます。

尚、小規模企業共済も同様の取扱いです。

たとえば、企業型の確定拠出年金 年66万円 小規模企業共済 年84万を20年間、掛金を支払った後、自己破産をした場合でも、60歳で3,000万円(※1)を受け取ることが可能です。

※1 (66万+84万)×20年=3,000万円

経営者にとっては、大きなメリットですね!

<デメリット>

■自己責任で資産運用

自己責任で資産運用をしなければなりません。資産運用に失敗した場合のリスクがあります。

資産運用に不安がある方は、定期年金や国債など安定した商品もあります。

■手数料

個人型、企業型の両方とも手数料がかかります。取扱い金融機関等で手数料が異なります。尚、ネット関係の金融機関などは手数料が安いです。

また、個人型の場合、手数料は比較的安いですが、企業型の場合には、導入費用等にコストがかかるのでメリットがあるかどうかシュミレーションが必要です。

■解約できない

60歳になるまで、財産を引き出すことができません。

将来設計を立て、計画的に運用していく必要があります。

編集後記

確定拠出年金は、上記で記載したようにメリットの多い制度です。加入に関しては、下記の様な事を考慮し、将来のライフプランを考える必要があります。

・老後資金をどのようにして貯蓄するのか

・教育資金をどのようにして貯蓄するのか

・自宅は、賃貸なのか、購入するのか

・万が一のリスクに備えて保険に加入するのか

ライフステージによって、ライフプランは変わってくるので、定期的に見直しが必要です。

ライフプランニングを立てている方は少ないと思います。記事をご覧になったこの機会に、一度考えてみられてはいかがですか?

弊所では、無料でご相談を承っておりますので、是非ご気軽にお電話ください。

また、話は全く変わりますが、ふるさと納税についての注意事項です。

ふるさと納税について、住民税の計算をする際、ふるさと納税の寄付金の税額控除がもれているケースが市町村によってはあるみたいです。昨年ふるさと納税をされた方は、所得税の寄付金控除、住民税の寄付金税額控除が正しく計算されているか確認されてみてはいかがですか。

★あさぎり通信vol.32 預貯金は、遺産分割協議の対象外なの?

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

今回のテーマは、相続が発生した時の遺産分割の話で「預貯金は、遺産分割協議の対象外」という内容です。

「うそ、預貯金は、当然相続人が遺産分割協議をして取分を決めるのでは」と思っていませんか?

もちろん、相続人が円満に分割協議をした場合には、今回の話は関係がないですが、相続争いになり裁判所のお世話になる場合には、裁判所は、預貯金と預貯金以外の財産(不動産,手持ち現金など)で違う考え方をします。

概要

裁判所は預貯金に関する遺産分割の取扱いを、遺産分割の対象外財産としています。つまり相続開始時に相続人が法定相続分に応じて分割する財産ということです。

誰が決めたのか? この取扱いは、法律ではなく、最高裁がこのような立場をとっているのです。

このため、相続トラブルで裁判になった場合には、裁判所は、預貯金については、相続分で機械的に按分する事にしています。

ただし、争っている相続人同士が合意して預貯金を相続財産に含めて協議を行うことにした場合には、預貯金は、他の相続財産と同じように分割協議の対象となります。

逆に、相続争いになって、預貯金を法定相続分だけもらえばいいと思っている人がいる場合に、預貯金を分割協議の対象財産に含める合意をしなければ、法定相続分で取得する事ができます。

具体例

わかりやすく、具体例で説明します。

たとえば、地主の方で、先祖代々長男が相続をする家系の場合において、次男が、不動産はいらない、預貯金のみ欲しいと思った場合、次男は分割協議をせずに(争わず)預貯金の相続分相当額を取得することができます。長男は、不動産と相続分相当額の預貯金を取得することになりますが、多額の相続税がかかり納税資金に困ってしまいます。

被相続人(亡くなった人) 父  相続人 2人 (長男 次男)

相続開始時の相続財産  6億円

相続税 2億円

■相続開始時の相続財産が預貯金2億円、不動産4億円の場合

・次男の相続の計算

相続財産 2億円×1/2=1億円

※預貯金は、分割協議をしなくても自動的に取得することができます。

相続税 2億円×1億円/6億円=3千万円

税引後の相続財産 1億円-3千万円=7千万円(預貯金のみ)

・長男の相続の計算

相続財産 6億円-1億円(弟の財産)=5億円(不動産4億円 預貯金1億円)

相続税 2億円×5億円/6億円=1億7千万円

長男は、預貯金1億円しか相続していない為、不動産を売却するか借金をしないと相続税が支払えません。

税引後の相続財産 5億円-1億7千万円=3億3千万円

長男は、3億3千万円と弟より多くの相続財産を取得していますが、相続税の納税により預貯金がありません。

預貯金だけをみると、次男が沢山、預貯金を取得した結果になります。

このように預貯金だけ欲しいと考える相続人も多いのではないかと思います。不動産は、資産価値があれば良いのですが、郊外の不動産など売却したくてもできなかったり、固定資産税の負担が大変だったりして維持管理が大変な場合があります。

実務上は、様々な相続財産があり、また、相続人の間の利害関係も複雑です。

どのような提案が良いかは、お客様によって変わります。

ちなみに、弊所は弁護士と共同で依頼者の利益を最大限考えた提案を得意としています。

<補足  金融機関の手続き>

上記の話は、裁判所での話であり、金融機関が上記の理論に基づき、相続手続をしてくれるかは、金融機関の対応次第であり不透明なところがあります。

編集後記

今回のテーマは、しっくりきましたか?預貯金と預貯金以外の財産で遺産分割の仕方が変わるのはおかしいと思いませんか。預貯金を含めた全体の財産で分割協議しないといけない気がしますよね。

今後、何らかの方法でこの取扱いは変わってくるのではないかと思います。

★あさぎり通信vol.31 贈与に関する都市伝説・誤解その3

おはようございます。

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

さて、本日のテ-マですが、前回・前々回で掲載している贈与に関する内容の最終編です。

内容としては、今回の件も良く聞かれる事ですが、

毎年贈与する金額や日にちは変えた方が良いのか?

今回の内容も、前回・前々回同様、都市伝説や誤解、人によって言う事が違ったりするので、またまた私を信じて最後まで読んで活用して下さい!

概要

 「毎年、贈与する金額や日にちは変えた方がいいですか~?」という質問も、前回、前々回の内容と同様に良く聞かれます。

結論からいうと、金額や日付を変えた方がいい でしょうね!

理由は、前回の考えと同じですが、その方が、税務署からの指摘を受ける可能性が減りやすいからです。

法律論的に良い悪いではなく、実務上の対応を考慮しての話です。

では、法律論的にどうかというと、毎年の贈与金額や日付が同じであっても、今まで何度もお話した様に、贈与が成立する為の要件(詳しくはVOL26参照)を具備していれば否認される事はありません

でも、税務署との対応は面倒くさいですよね!という話です。

では、何故こんな話が出回っているのでしょうか??

毎年同じ金額や日付で贈与すると連年贈与になるという都市伝説があるからです。

連年贈与

連年贈与とは、毎年同じ金額の贈与を繰り返すと、その合計額を贈与とみなして、まとめて贈与税が課税されるというものです。

毎年100万円の贈与を10年間繰り返していると、最初の年に1,000万円を贈与したものとみなされて贈与税が課税されてしまう!という事です。

よくある具体例で言うと、

10年払いの保険に入る為に、毎年、同額の保険料相当額を父から子に贈与する。この場合に10年分の保険料相当額の合計額に贈与税が課税されるという都市伝説です。

この都市伝説の出処は、国税庁のHPのNO.4402に以下の様な記載があるからだと思われます。

毎年、基礎控除額以下の贈与を受けた場合 (国税庁HP:NO4402)

Q1

親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下ですので、贈与税がかからないことになりますか。

A1

各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。
ただし、10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束をした年に、定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかりますので申告が必要です。
なお、その贈与者からの贈与について相続時精算課税を選択している場合には、贈与税がかかるか否かにかかわらず申告が必要です。

(相法21の5、24、措法70の2の4、相基通24-1)

以上が国税庁のHPですが、

ここでポイントなのが、上記太字の部分ですが、 「10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合」

最初から1,000万円を10年に分割して贈与するという契約であれば、毎年の贈与金額は関係ない。                                         つまり、1,000万円に対して贈与税を課税するという事です。

最初から1,000万円が確定しているケ-スです。

したがって、毎年100万円の贈与を10年間続けたのでは、結果の合計額が1,000万円で同じでも意味が全く違います!

税務署が、もし、連年贈与で否認するのであれば、初めから「1,000万円を10年で分割して贈与する」というような契約書を探してこなければ無理です。

だから、毎年の贈与に対して契約書を作成しておけば問題にはならないんです!!

連年贈与になんてなるわけがありません!

以上、連年贈与の考え方を理解して下さいね !

編集後記

今回の話はどうでしたか?

前回同様、連年贈与の意味を理解していれば、毎年、同額の贈与する事については何も怖くないのですが、税務署に何か言われると嫌ですよね!

だから、贈与金額や日付は変えた方がいいかもしれませんね。

また、前回の話ですが贈与税も毎年払った方が無難ですね!

★あさぎり通信vol.30 贈与に関する都市伝説・誤解その2

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

さて、本日のテ-マですが前回・前々回の私のパ-トで掲載している贈与に関する内容の続きです。

内容としては、お客様から良く聞かれる事なのですが、

1. 未成年者(赤ちゃん)に対する贈与は大丈夫なのか?(vol.29参照

2. 贈与する金額は110万円以上にして、証拠の為に贈与税は払った方がいいのか?

3. 毎年贈与する金額や日にちは変えた方が良いのか?(次回掲載予定)

以上の3点ですが、今回は2について解説しようと思います。

今回も1と同様、本やネットで検索すると非常に多くヒットする内容です。

都市伝説や誤解、又、人によって言う事が違ったりするので、私を信じて最後まで読んで活用して下さいね!

概要

「贈与する時には、贈与金額を110万円以上にして、贈与税は申告しておいた方がいいんですか~?」

この話は良く聞きませんか~?私も実際に良く質問されます。

結論から言うと、贈与の金額を110万円以上にして贈与税は払った方がいいでしょうね

何故なら、贈与税の申告が出ていれば、税務署からの指摘を受ける可能性が減りやすいからです

疑われずして素通りして行く可能性が高いという事です。

実際の税務調査の現場では、家族間の資金交流について、調査官から

「これとこれは贈与税の申告がされているので分かりますが、その他の動きについてはどうなっているのか分からないので説明してもらえますか?」というケ-スが多いです。

何度も解説していますが、贈与成立の為には、

〇 当事者間の意思があったかを担保する為の契約書の有無

〇 実体として贈与により財産をもらった人が、その財産を自分のものとして管理・保管しているか

などの要件が絶対に必要です。

勿論、以上の様に完璧に贈与成立の要件を満たしていれば、110万円以内の贈与であっても、何も問題はありませんから、びた一文税金を払うのが嫌な方は、申告など行う必要はありませんが・・・・

ただ、税務署に説明するのは面倒だし、因縁をつけられたら嫌ですよね!

贈与税の申告書が出ていれば素通りする可能性が高いから、税務署との応対が減りやすく、気も心も楽じゃないですか! 

という理屈です。

注意点

逆に、気を付けなければならないのが、贈与税の申告をしていれば、後で問題が起こらないと思っている方です。

贈与税の申告=贈与成立では決してありません!

都市伝説であり大きな誤りです!

 贈与税の申告は、贈与成立を立証する為の1つの証拠にしか過ぎません

具体的に下記の様なケ-スがよくあるパタ-ンじゃないでしょうか。

(1) 贈与者(財産をあげる人)が、受贈者(財産をもらう人)の通帳にお金を振替、通帳は渡さずに、贈与者が贈与税の申告を行い、贈与税も支払う。

(例)おじいちゃんが孫名義の通帳を作って、そこに振込、通帳自体は、孫や孫の親には渡さず、その後、おじいちゃんが贈与税の申告を行い、贈与税も自分で支払う。

(2)受贈者が贈与者のお金を通帳から引き出し、自分の通帳に振替、受贈者が贈与税の申告を行い、贈与税も支払う。

(例)認知症の親の通帳から、お金を引き出し、自分(子)の通帳に振替、その後、贈与税の申告を行い、贈与税も自分で支払う。

申告しているから大丈夫だと思ったら絶対にNGです!!

余談ですが、上記(2)の場合には、遺産分割の際に他の相続人からも、勝手にお金を流用しているので指摘を受ける可能性大です!!

裁決事例(H22.4.1)でも、贈与税の申告がされていても否認されています。

また、私見ですが、どうせ申告するのなら、贈与金額を120万円以上にして1万円以上の贈与税は払った方がいい様な気がします!

100円か200円の贈与税だと公証人役場の確定日付の手数料よりも安い!!

私が税務調査官だったら逆に、こいつ、あからさまに証拠作りの為に、税務署を利用して申告したなと思います。

そうなると、本当に贈与が成立しているのか、ちょっと実体の調査でもしてみよう、なんて気にさせそうです。

編集後記

今回の話も都市伝説で誤解されている方が多い内容だと思います。

きちんと贈与の手続きをしていれば、課税トラブル(否認)になる事はありません

 ただ、税務署に何か言われるのは面倒ですよね!嫌ですよね!

だから、贈与税の申告をした方が楽じゃないでしょうかね。

★あさぎり通信vol.29 贈与に関する都市伝説・誤解その1

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

さて、本日のテ-マですが、前回、前々回の私のパ-トで掲載している贈与に関する内容の続きです。

内容としては、お客様から良く聞かれる事なのですが、

○ 未成年者(赤ちゃん)に対する贈与は大丈夫なのか?

○ 贈与は110万円以上にして贈与税は証拠の為、払った方がいいのか?

○ 毎年贈与する金額は変えた方がいいのか?

以上の3点ですが、今回は、「未成年者に対する贈与」について解説しようと思います。

都市伝説や誤解されている方も多いと思いますので最後まで読んでくださいね!

概要

未成年者に対する贈与が大丈夫かどうかなのですが、まず、贈与契約は民法で定められていますが、民法上、贈与に「年齢制限」は定められていません。

したがって、0歳の赤ちゃんだろうと、小学生だろうと、大学生だろうと未成年者に対する贈与は法律上有効です。

ここで、よくある話なのですが、

書籍や税理士によっては、未成年者でも、ある程度自分で判断が出来る年齢(小学校の高学年以上)でないと、贈与は成立しない!!というところも。

何故なら、贈与は、贈与者と受贈者の二者の意思疎通があって成立するという大原則があるので、自己の判断能力のない未成年者だと、この意思疎通が出来ないから駄目、贈与は成立しない、という理由の様ですが・・・・

こういう記事があるから皆さん迷ってしまうんでしょうね!!

最近、信託銀行が窓口になって流行っている「教育資金の一括贈与」という制度があります。この制度を利用して赤ちゃんに対して贈与するケ-スは非常に多い様です。

先程の判断能力のない未成年者に対する贈与は成立しないという方は、この事実をどう説明するんでしょうかね??聞いてみたいです!!

国が推進している、「教育資金の一括贈与」だから、有効で、個人的に行った贈与は無効とでも言うのでしょうか!!そんな馬鹿な話はありません。

又、過去の裁決事例(H19.6.26)でも、

未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかに関わらず、親が未成年者である子の法定代理人となる事で贈与は成立するとなっています。

貰う本人が贈与の事実を知らなくても有効と言っています!! 

以上から、赤ちゃん等の判断能力のない未成年者に対する贈与も問題ないと考えられます。

注意点

贈与全般に言える事なのですが、贈与を成立させる為には、形式と実体には、注意して下さいね。

具体的には、vol.26(2017.12.13投稿)を読み返して欲しいのですが、先ず、贈与契約書には必ず「親権者」が署名する様にして下さい。民法上、未成年者は、法律行為における判断能力が不十分である為、親権者の同意が無ければ、法律行為が成立しないからです。

次に、実体ですが、贈与により取得した財産の管理等も親権者が行う事になるのですが、使い込みは厳禁です。

「教育資金の一括贈与」は、信託銀行が、契約書から管理まで全て行うので問題が出ないのでしょうが、個人間で贈与する場合にも、これと同じようなレベルで処理する事が望ましいのは言うまでもありません!

編集後記

相続税増税になった今、節税対策として贈与は必須となっています。未成年者等の孫への贈与をしていけば、多額の財産移転が可能となります。

また、原則、孫に対する贈与は、相続が発生した場合にも、持ち戻しの対象(相続開始前3年以内の贈与)にならないので、節税対策としては有効です。

ただし、何度も言いますが後で税務トラブルにならない処理を行いましょう。

★あさぎり通信vol.28 不動産取得税の落とし穴(内装工事)

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

今回のテーマは、「賃借人であるテナントが内装工事をした場合に、賃貸人であるオーナーに不動産取得税が課税される可能性がある」という話です。

え!?賃借人が行った内装工事について、オーナー自ら不動産取得税を支払わないといけないの!!?

オーナーにしてみれば、何も取得していないのに、税金を支払わないといけないの!!!?

何か変だと思いませんか?

概要

 不動産取得税は、不動産を取得又は新築した場合に、不動産を取得又は新築した人が納付する税金です。この税金は、広島県が、税額を計算して課税します。つまり、自ら申告をしなくても課税される税金です。不動産を取得、新築された方は、分かるかもしれませんね。

不動産を取得、新築した場合に、不動産取得税が課税されるのは、理解ができると思います。が、今回のテーマは、賃借人が行った内装工事にも不動産取得税が課税される話です。(オーナーが内装工事をしていないものです。)

地方税法73条の2第6項において、「家屋が建築された場合において、・・・・一体となって家屋として効用を果たしているものについては、・・・・取得者以外の者が取り付けたものであっても・・・・不動産取得税を課することができる」 つまり、「課することができる」と地方税法でははっきり記載されています。ただし、「できる」規定なので、このままだと課税はされないです。

この地方税法に基づき、広島県では、条例を定め「課することができる」規定を「課する」に定めています。

 広島県条例第56条7

「家屋が建築された場合において、・・・・一体となって家屋として効用を果たしているものについては、・・・・取得者以外の者が取り付けたものであっても・・・・不動産取得税を課する。」

つまり、広島県においては、賃借人が行った内装工事については、不動産取得税を納付しなければなりません。

この規定においては、新築物件、中古物件、事業用物件、居住用物件の区分がされていない為、すべてが課税の対象になります。

 どのような内装工事が課税されるのか

内装工事でも、修繕みたいな内装工事には課税されません。地方税法では、「一体となって家屋として効用を果たしているもの」と定めており、広島県では「固定資産税評価基準において家屋に含まれるもの」取通(県)五章二(2)ア)と規定しています。

例えば、空調設備、パーテーション、コンセントの数、洗面台、床工事、天井の工事などです。一般的に賃借人がスケルトン(何もない状態)で賃借した場合に、行う内装工事が対象です。

 この不動産取得税の納税義務者は誰なのか

地方税法では、この不動産取得税の納税義務者は、「主体構造物の取得者」と定めています。つまり、建物の所有者です。また、地方税法では、建物の所有者が、賃借人と協議をして、賃借人に課税することができるとも定めています。

不動産取得税の納税をめぐるトラブルの解決方法

<賃貸人の立場>

不動産取得税をオーナーが支払うのか、内装工事をしたテナントが支払うのか事前に決めておかないとオーナーが不動産取得税を支払わなければいけなくなるリスクがあります。

このリスクを避けるために、賃貸借契約書で不動産取得税が課税された場合には、賃借人が納付すると定めておくことが大切です。

算出された不動産取得税の額については、正しい金額か確認する必要はあります。

<賃借人の立場>

地方税法、広島県の条例においても、賃借人は納付する義務がありません。地方税法では、「賃貸人と賃借人が協議の上、賃借人に課税することができる。」と記載しているだけなので、協議して合意しなければ、不動産取得税の納付義務がありません

ひょっとしたら、新築物件のテナントで、テナント側には本来支払い義務がないにもかかわらず、不動産取得税を納付された方がいるかもしれませんね。

編集後記

不動産取得税は、広島県が税額を確定して納付書を作成して通知してくる税金です。この為、何の疑問も思うことなく納付してしまっているのではないかと思います。

 私見ですが、中古の物件の場合、賃借人が行った内装工事について納付義務があるが、ほとんどのケースで広島県は、課税していない。つまり、不動産オーナーは不動産取得税を納付していないのが、実態ではないかと思います。

広島県の担当職員が新築物件のみ目をとがらして課税しているのではないかと思います。

このような、課税の決定は、課税の公平性に欠けるのではないですかね。

★あさぎり通信vol.27 親名義の建物に子供がリフォームをした場合の...

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

今回のテーマは、親名義の建物に子供がリフォームをして住む場合の税金の話です。

えっ、親名義の建物に自分がリフォームして住むのに税金がかかるの?

何か、変ですね!!

概要

まず、親名義の建物に子供が増築した場合の税務の取扱いとして、国税庁のホームページに、「親名義の建物に子供が増築したとき」の題で下記の様な記載があります。

「子供が親名義の建物に増築した場合には、親が子供に対価を支払わないときは、親は子供から増築資金相当額の利益を受けたものとして贈与税が課税されることになります。しかし、増築資金に相当する建物の持ち分を子供へ移転させて共有にすれば、贈与税は課税されません。ただし、親から子供への建物の持分の移転は、親から子供への譲渡となり譲渡所得税が課税されます。」

つまり、国税庁は、親名義の建物に子供が増築をした場合には、親が贈与税を支払うか、譲渡所得税を支払うかどちらかになると記載しています

国税庁の見解の根拠としては、民法242条に「付合」という概念があるためです。「付合」って、聞きなれない言葉ですが、つまり、他人が建物の増築などをした場合において、所有権は、建物の本体の所有者に帰属するという考えです。

本当に、親が持っている建物に自分が住む為に増築した場合に税金がかかるの?

何かおかしいのではないか?そう思いませんか?

私は、税理士としておかしいと思います!!!

対策方法

親名義の建物に子供が住む為に自らリフォームをする場合の税金の解決方法として、下記にまとめました。

1.親が贈与税を支払う。

前提→何もしない場合(持分の移転をしない)

国税庁の見解の通りに親が子供から「増築資金相当額の利益」を受けたものとして贈与税を支払う。

問題点→贈与により受けた利益をどのようして評価するのか。上記の国税庁のホームページにも記載がありますが、贈与を受けた利益は、増築にかかったお金ではなく、「増築資金相当額の利益」と記載しています。いくら利益を受けたのか評価が難しいですね。

解決方法→贈与税が高くなるかもしれませんが、増築にかかったお金で贈与税を申告すれば問題は生じないのではないかと思います。

2.親が譲渡所得税を支払うか、子供が贈与税を支払う。

前提→リフォームの前に建物の持分全部を子供に売買か贈与で所有権を移転しておく。

そもそも他人名義の建物にリフォームをするので、このような難しい問題が生じます。あらかじめ、所有権を全部移転しておけば、このような問題は生じません。

ただし、譲渡所得税か贈与税の負担が生じます。

3.贈与税も譲渡所得税も支払わない。

前提→法解釈を正しく理解できる税理士にお願いをする。(あさぎり会計事務所など)

インターネットでこのテーマについて検索すると、税理士としての考えとして贈与税か譲渡所得税が課税されると書かれていることが多いです。この理由としては、国税庁のホームページに記載があるからだと思います。

税理士として、見解がわかれる分野かもしれません。具体的な個別案件にもよりますが、贈与税、譲渡所得税も課税されない方法で処理することもできます。

あさぎり会計事務所では、実際に税務署と折衝し、この方法で処理しています。

ただ、専門家でない方が、この方法をとるのは難しいかもしれませんね!!

編集後記

今回のテーマは、税務上の解釈の難しい内容になっています。

税理士によっても考えが違うかもしれません。

また、今回のテーマ以外にも「ある取引」について、税務判断が確定できない、又は税理士によっても判断が違うこともあります。気になることがありましたら、セカンドオピニオンとして相談して頂ければと思います。